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安倍首相の赤恥

 安倍首相は消費増税を見送る。そのため2008年のリーマンショック前後に似ているデータを外(世界経済)に見つけて取り繕おうとしたが、逆に世界に赤恥をかいた。景気足踏みの原因がアベノミクスの失敗であるからだ。

 そもそもアベノミクスの中身はイメージ戦略、日本銀行の金融緩和だけのポピュリズム政策だと、3月4日号「特集 アベノミクス失敗」のなかで元大蔵官僚の小幡績氏が喝破した。安倍首相は「デフレマインド脱却」を繰り返しているが、小幡氏は「インフレになると景気がよくなることがあるというのは誤りで、景気が良くなるとインフレになることがあるというのが定説です。因果関係が明らかに逆」と説明している。

 今週号では参院選を意識して憲法を特集した。憲法改正は日本会議的右派に向けた首相のポピュリズム政策でもある。憲法を変えれば日本が「美しい国」になると考えているようだが、「昭和47年政府見解」すら誤読する首相だ。改憲の因果関係論もまともな代物ではないと考えてしまう。