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日本会議と自民党

 戦後価値観への怨念を露わにした日本会議の源流の一つは、左翼に反発した「全国学生自治連絡協議会」だという。

 右派の学生運動は戦後史であまり注目されてこなかった。強いて象徴的な存在は三島由紀夫の楯の会だろうが、当時は武闘派学生から批判もあったという。

 さて本誌2015年2月20日号の特集「劣化する自民党」内でも紹介した中丸到生・元自民党政調会長室室長は東海大学が出版した記録「自民党元職員の回想録」の口述者だが、「回想録」には左翼学生運動への危機感に対する動きは早稲田大学から広まり日本学生同盟が結成されたことが記されている。同盟には森喜朗、小渕恵三、海部俊樹らOB政治家が「物心両面の応援、支援」をしたそうだ。

 一方、中丸氏も中央大学に自由主義研究会をつくる。在野の軸として、生長の家を出自とする冒頭の全国学生協議会が、地方ブロックごとにできていった。いずれにせよ劣化する自民を日本会議が支え、いまや復古的イデオロギーにまみれた日本社会を招いているのだ。