編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

安全の内実

 米領グアム島沖を標的とした朝鮮民主主義人民共和国による“ミサイル発射計画”なるものに対し、日本政府は大掛かりな準備を整えた。本当にミサイルが落ちてくるの?

 一方、米軍の普天間飛行場所属のオスプレイが今月5日、オーストラリア沖で墜落事故を起こした。政府はいったん国内の飛行自粛を要請したものの、事故原因が明らかになったわけでもないのに、11日には飛行を容認した。

 ミサイルとオスプレイ、もともと比較にならない話で、どちらがどれだけ危険性があるのか、正直私にはわからない。前者は集団的自衛権の問題も絡んでいるようだ。だが、少なくともデモンストレーションでなく、住民の安全を第一に考えているのなら、一貫した態度を示すべきだろう。これだけ事故が頻発するオスプレイの飛行に対して、厳然とした態度が、なぜとれないのか。

 安全の内実を軽んずる日本政府、その長たる安倍晋三首相の言動に、私たちは悲しいかな、慣れっこになってしまっている。

連携プレー

 7月16日、富山で開かれた「女性レッドアクションとやま」の活動と学習会に参加させていただいた。ちょうど共謀罪施行にあわせた抗議集会の直後にあたり、さらに3連休のあいまで、小雨が降る悪天候という悪条件が重なったが、参加された方々のメッセージは力強かった。

 報告を今週号に書かせてもらった。介護の現場からのお話なども興味深かったが、記事にすべて盛り込めなかったのが残念だ。本誌読者の方もいらして、「私はいつもここから読みます」「××の記事がよかった」などの感想も伺えて励まされることが多々あった。帰りにはキュウリとインゲンをいただいた。

 24日には東京で、弊社の単行本『検証産経新聞報道』の刊行に合わせ、高田馬場の早稲田奉仕園で集会が開かれた。報道関係者の方も多かったが、読者会の方の姿もあった。右派メディアと裁判中の植村隆さんのために、高嶋伸欣さんが貴重な資料をお持ちくださった。連携プレーの成果を、本誌でも報告できると思う。

税金の使い道

「(安倍晋三首相の)濡れ衣を晴らしたい」

 加戸守行前愛媛県知事が、閉会中審査でこんな答弁をした。失礼ながら、この方の文部官僚時代からの身の処し方をこの発言に重ねあわせてしまう。そこに私が見るのは、泥をかぶることで権力の中枢に抱き込まれる構図だ。

 安倍首相の答弁は、濡れ衣を晴らすようなものではなかった。高級官僚は一丸となって権力者を守ろうとしているように見えた。彼らの人事権を誰が握っているのかを考えると、話はわかりやすい。要は、これで私たちが納得するかどうかの問題だろう。

 加計学園へ今治市が投下した税金は96億円、「第2の加計」と言われる国際医療福祉大学に成田市が投下したのは130億円。負債を払うのは市民だ。誰かがチャラにしてくれはしない。といっても、両市民を私が責められる立場でもない。2020年の東京五輪の負債を都民としてどう考えるのか、と問われたら黙ってしまうからだ。大きなカネにはどうしても弱い。

ABE IS OVER

 パギやんこと浪花の歌う巨人・趙博の“ABE IS OVER”。「もりかけ」のメーリングリスト(ML)で知り、聞き入ってしまった。“LOVE IS OVER”の替え歌だ。安倍政権が終わってほしいという願望にストレートに応えたものだが、歌詞は皮肉が効いていて、ハスキーな声が渋め。パロディなのにかっこいい。そのギャップが笑える。

 東京・国立でこの5月、中川五郎さんとのライブで歌った時は大うけだったそうだ。MLによると11月には東京・江古田で故貝原浩さんの風刺画展があり、そのオープニングイベントにパギやんは出演する。その時彼はこれを歌うのか。歌う必要がなくなっているといいのだけど。

 今週の特集は“松本人志と共謀罪”。近々の番組では「安倍政権のやることが全部間違いで(はない)。憲法もある程度考え直さなあかん時期に来ているとは思うしね」と発言したそうだ。個人の論評としてはもちろんOKだが、まるで百田尚樹さんのセリフみたいで、なんだかねえ。

九州北部の集中豪雨

 九州北部の集中豪雨では多数の方が犠牲になり、いまも安否不明の方がいるなど甚大な被害が明らかになっている。集落の孤立状態は解消されつつあるようだが、被害を受けたみなさまにはこころからお見舞いを申し上げます。不安な毎日を送っている方々が、早く元の生活に戻れるよう、政府や自治体の支援を市民として後押ししたい。

 自然災害とはいえども、人間活動がもたらした人災的な部分はないのだろうか。また、現在進行中の大規模な開発プロジェクトなど、自然災害による危険性が軽視されていはしまいか、つい気になってしまう(リニア新幹線とか)。いろんな角度からの施策の点検が必要ではないだろうか。

 10日、加計学園の閉会中審査で新たな証言が出てきた。とはいえ、肝心の安倍晋三首相は不在、このままでは単なるガス抜きで終わってしまう。今週号では「第3の森友」「第2の加計」ともいわれる国際医療福祉大学の疑惑をお届けした。今後、一連の疑惑とともに特集などで追及していく予定だ。

都議会選

 選挙カーから名前を3~4回連呼し、「覚えてください」と要請していた私の地元候補者は、2日の都議会選で当選。飛ぶ鳥を落とす勢いの「都民ファースト」さん所属だから。その「都民ファースト」は早々に小池知事が代表を降板。新代表があのごりごり右翼の野田数氏というから恐ろしい。

 一方、この選挙でお仕置きをうけたはずの安倍政権は、改憲に向けた行程を変えないと表明している。自民党としても安倍晋三首相をひきずり降ろすよりも、積年の悲願である改憲の機会を逃すまいということになるのか。そんな打算を打ち砕く運動がひろげられたらいい。国政レベルで自民党の受け皿となる野党の連携を急げ!

 先週号の読売特集は、”巨人に挑む一寸法師”というたとえもいただいた。反響は上々。”蛮勇”を振るったつもりだが、表紙のタイトルが凡庸というお叱りを受けた。実は批判は予想されていたが、特に今回は表現に慎重さを心がけた。とはいえ次回は、もっとキャッチーなタイトルを心がけたい。

よろしかったら

 日曜日、埼玉・久喜からダンボールが届く。インゲン、ナス、ピーマン、キュウリ、トマトがどっさりと入っている。夏野菜は今年、初めてだ。インゲンはかた茹でにして冷凍庫にしまう。食べきれない分は、近くにおすそ分けだ。キュウリを1本、洗って食べる。その肉質の柔らかさとみずみずしさに感動。

 朝から東京都議会選挙の選挙カーがすぐ近くを通るので、寝坊を決め込んだものの、いくらカーテンをきっちり閉めても眠ってはいられない。候補者の名前を3~4回連呼したかと思ったら、「覚えてください」。もうちょっとましな選挙活動はないものか。

 安倍首相が都議会選の街頭応援演説に現れないと聞く。呼ばれないのか、遠慮しているのか。「印象操作」を連呼するあのスピーチに間違っても街角で遭遇したくない。それよりも臨時国会を開いて「もりかけ問題」の疑惑にこたえることが先決だろう。安倍総理大臣他の国会証人喚問を求める署名を呼びかけている。URL・http://bit.ly/2rOxgOd よろしかったら。

辺野古と祭り

 今国会で成立した共謀罪は、たとえ法務大臣が施行日を答えられなくとも今後我々を縛る。その悪法が先取りされているかのような事態が続く沖縄を、本号では特集した。

 先日、沖縄・辺野古ハーレーに行ってきた。爬竜船(はりゅうせん)を漕ぎ、速さを競う伝統行事だ。悪天候で一度流れ、迎えた今月4日、風は強かったものの、「これがハーレー日和」とのこと。

 地元の人たちと共にキャンプ・シュワブの米軍、沖縄防衛局も参加した。いかにも屈強そうな米軍チームが常勝するのかと思ったらそうでもない。子どもや女性たちが鍋を叩き地元優勝チームを迎える。この浜辺は計画案では作業用バックヤードになる。地元の人に聞くときっぱりと「ハーレーはなくなりません」。

 反対運動のテント村に変わりはないが、基地との境のフェンスにNO BASEなどと書かれたバナーがない。地元の人に配慮し、63枚すべてを取り外して保管、翌日また掲げるのだという。祭りができるのもこの美しい浜辺あってこそ。海の神様は、その守り人をきっと見ている。

騙しのテクニック

 これを書いている13日午後の時点では、共謀罪の審議について、大きな動きがない。今週号の共謀罪をめぐる足立昌勝氏と板橋功氏による討論でも、審議が尽くされていないという点では一致している。権力批判を厭わない『週刊金曜日』に関わる人たちすべてを脅かすこの法案に、最後まで反対する。

 種子法廃止、介護保険法改定、労働基準法改定など、“悪法国会極まれり”の感のある今国会。だが、毎年この時期に発表される「骨太方針」にも驚いた。私は元参議院議員の峰崎直樹氏のメールマガジンで知ったが、今週号で、「経済私考」の鷲尾香一氏が鋭い指摘をしている。“目くらまし”がほどこされていることだ。財政健全化が厳格化されたようにみえて、実は安易な達成目標が格上げされただけという次第だ。専門家による分析がなければ「なるほど」とやり過ごしてしまう。

 安倍政権の一つの特徴がこの騙しのテクニックではないか。それが当たり前のようになっていることがおそろしい。

男の呪いと安倍首相

「もりかけ」問題や、共謀罪など重要な政治課題が審議されているなか、どうして今週号の本誌は“男”の呪いを取り上げるの? と思われる読者の方もいらっしゃるかもしれない。私には、いまの国会の状況が、まさにこの“男”の呪いが災いしているように思えてならない。

 すべての権力を持っているように見えて、実は“裸の王様”の安倍晋三首相に、「おかしいよ」ともの申す人が、どうして現れないのか。安冨歩さんが使う“立場主義”の概念が、私にはわかりやすい。もちろんこれは、自分の感情や考えを抑圧する“女性”にもあてはまるのだろう。

 それにしても安倍さんの空虚な答弁は凄いとしかいいようがない。参院法務委員会の共謀罪の審議中、答弁しようと挙手をする金田勝年法相の肩を安倍さんがつかんで阻止したときは驚愕した。左のお隣さんからも止めが入り、金田法相が気の毒に思えた。

 自分たちが作り出した呪いは、自分たちで解くしかない。こたえはシンプルだ。