編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

税金の使い道

「(安倍晋三首相の)濡れ衣を晴らしたい」

 加戸守行前愛媛県知事が、閉会中審査でこんな答弁をした。失礼ながら、この方の文部官僚時代からの身の処し方をこの発言に重ねあわせてしまう。そこに私が見るのは、泥をかぶることで権力の中枢に抱き込まれる構図だ。

 安倍首相の答弁は、濡れ衣を晴らすようなものではなかった。高級官僚は一丸となって権力者を守ろうとしているように見えた。彼らの人事権を誰が握っているのかを考えると、話はわかりやすい。要は、これで私たちが納得するかどうかの問題だろう。

 加計学園へ今治市が投下した税金は96億円、「第2の加計」と言われる国際医療福祉大学に成田市が投下したのは130億円。負債を払うのは市民だ。誰かがチャラにしてくれはしない。といっても、両市民を私が責められる立場でもない。2020年の東京五輪の負債を都民としてどう考えるのか、と問われたら黙ってしまうからだ。大きなカネにはどうしても弱い。

ABE IS OVER

 パギやんこと浪花の歌う巨人・趙博の“ABE IS OVER”。「もりかけ」のメーリングリスト(ML)で知り、聞き入ってしまった。“LOVE IS OVER”の替え歌だ。安倍政権が終わってほしいという願望にストレートに応えたものだが、歌詞は皮肉が効いていて、ハスキーな声が渋め。パロディなのにかっこいい。そのギャップが笑える。

 東京・国立でこの5月、中川五郎さんとのライブで歌った時は大うけだったそうだ。MLによると11月には東京・江古田で故貝原浩さんの風刺画展があり、そのオープニングイベントにパギやんは出演する。その時彼はこれを歌うのか。歌う必要がなくなっているといいのだけど。

 今週の特集は“松本人志と共謀罪”。近々の番組では「安倍政権のやることが全部間違いで(はない)。憲法もある程度考え直さなあかん時期に来ているとは思うしね」と発言したそうだ。個人の論評としてはもちろんOKだが、まるで百田尚樹さんのセリフみたいで、なんだかねえ。

九州北部の集中豪雨

 九州北部の集中豪雨では多数の方が犠牲になり、いまも安否不明の方がいるなど甚大な被害が明らかになっている。集落の孤立状態は解消されつつあるようだが、被害を受けたみなさまにはこころからお見舞いを申し上げます。不安な毎日を送っている方々が、早く元の生活に戻れるよう、政府や自治体の支援を市民として後押ししたい。

 自然災害とはいえども、人間活動がもたらした人災的な部分はないのだろうか。また、現在進行中の大規模な開発プロジェクトなど、自然災害による危険性が軽視されていはしまいか、つい気になってしまう(リニア新幹線とか)。いろんな角度からの施策の点検が必要ではないだろうか。

 10日、加計学園の閉会中審査で新たな証言が出てきた。とはいえ、肝心の安倍晋三首相は不在、このままでは単なるガス抜きで終わってしまう。今週号では「第3の森友」「第2の加計」ともいわれる国際医療福祉大学の疑惑をお届けした。今後、一連の疑惑とともに特集などで追及していく予定だ。

都議会選

 選挙カーから名前を3~4回連呼し、「覚えてください」と要請していた私の地元候補者は、2日の都議会選で当選。飛ぶ鳥を落とす勢いの「都民ファースト」さん所属だから。その「都民ファースト」は早々に小池知事が代表を降板。新代表があのごりごり右翼の野田数氏というから恐ろしい。

 一方、この選挙でお仕置きをうけたはずの安倍政権は、改憲に向けた行程を変えないと表明している。自民党としても安倍晋三首相をひきずり降ろすよりも、積年の悲願である改憲の機会を逃すまいということになるのか。そんな打算を打ち砕く運動がひろげられたらいい。国政レベルで自民党の受け皿となる野党の連携を急げ!

 先週号の読売特集は、”巨人に挑む一寸法師”というたとえもいただいた。反響は上々。”蛮勇”を振るったつもりだが、表紙のタイトルが凡庸というお叱りを受けた。実は批判は予想されていたが、特に今回は表現に慎重さを心がけた。とはいえ次回は、もっとキャッチーなタイトルを心がけたい。