編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

現場の判断力

 暑い。こんな時に子どもは高校のテニス部でマラソンという。ご苦労なこと。え? 顧問は不在で×周走破を事前に申し渡すだけって? 「それ危ないよね」、というと、「みんなわかっているから」と意味不明な答え。

 姪の小学校は自衛隊機の騒音で窓があけられないのに市長の意向でエアコンなしだった。水筒は持参できても授業中は飲めない。昨夏、体調を崩し医者に運ばれたところ、命に関わる熱中症と診断された。市長は方針転換したが、いまだエアコンなしだ。最近も熱中症で小学生が亡くなった。学校は命や安全を何より優先すべきだ。

 東京都立高校で「君が代」斉唱拒否をして再任用をされなかった教員が都を訴えていた裁判で、最高裁は逆転敗訴を言い渡した。納得できない。上からおりてきたルールを100%守らせることが、どれほど現場の判断力を奪っているのか、現実を見てほしい。

「君が代」拒否で処分された教員を支援する「コンサート・自由な風の歌」の情報が本誌「はらっぱ」にある。よろしかったら是非!

自然災害

 この編集後記を書いている17日現在、国会は大詰めだ。酷暑の中、西日本を中心とした豪雨による被災者たちの苦労は想像を絶する。支援金の引き上げを取り入れた「被災者生活再建支援法」の改正案を、ぜひ成立させてほしい。

「国民の生活が大事なんて政治はね、私は間違ってると思います」とかつて言ってのけた議員さんもいるが、ここは救援すべきときでしょう。誰かの金儲けのためのカジノ法案と、党利党略のための公職選挙法改正案よりも優先すべき、と内心考える与党議員だってきっといるはず。

 この連休、津波工学の研究者と話をする機会があった。「自然災害が増えていませんか」と問うと「海水の温度があがってますからね。台風も起こりやすい」とのこと。

 以前から気になっているのが、リニア中央新幹線の工事だ。手をつけてはいけない危険な地域が工事の対象になっていないか。さまざまな環境変化がもたらす長期的な影響を考えると、取り返しのつかない事態が起きそうに思えてしまうのだ。

問われるのは

 130人を超える死者を出した今回の西日本を中心にした豪雨による災害。行方不明の方がまだ70人以上もいらっしゃる。救助を待つ方に、救援の手が一刻も早く届くことを祈るばかりです。被災された方々にはこころからお見舞いを申し上げます。

 現地から冨田きよむさんがレポートしてくれました。今後いろいろな問題が明らかになってくることでしょう。当然問われるのは政府の対応です。大雨が心配された5日夜、安倍首相が閣僚とともに酒宴に興じていたこと、7日の災害対策の関係閣僚会議が15分だけだったことなど……危機感はどこに? 当座の外遊はキャンセルとなりましたが、7月14日、パリで行なわれる仏革命記念日の軍事パレードに安倍首相は自衛隊と共に参加する予定でした。こころはパリに? 改憲の名目に緊急事態条項がありますが、今回の失態を踏まえれば、恥ずかしくて口にできないと思います。思惑が別のところにあることがバレバレだもの。台風8号の行方も気になります。

怒濤の1週間

 6月30日(土)、92歳と85歳の父母が暮らす山梨の実家の居間から、炬燵が片付いたという。ようやく──。皮下脂肪がなくなった父はめっきり寒がりになって、これまでも片付ける機会はあったが、承諾しなかった。今後は一気に熱中症対策だ。

 夕方からTさんの退職祝い。フットワークよく世界を駆け巡る尊敬する研究者だ。流動的で混沌とした社会に悲観的なご様子。

 7月2日(月)、ワイファイの調子が悪いが、仕事前に2紙の電子版を読む。沖縄紙の投書欄にある「再編交付金の在り方に疑問」は、本誌でもお世話になっているTさんの投稿だ。朝食はベランダのプランターからルッコラを引き抜きサラダに。安上がり!

 会社に着くと、先週ネット配信した2本の記事が大きなアクセス数を記録したことが話題に。1日100万アクセスを超えたのは初めて。紙のほうの手応えは? そのうち「メキシコで左派大統領誕生」の報。……まずい、Iさんに連絡していなかった。怒濤の1週間が始まった。