日本の諜報活動
スパイ防止法を問う
情報の収集・分析機能の強化策として政府が来年の通常国会への提出を目指す「スパイ防止法案」を巡る議論が有識者会議で進んでいる。今年7月の国家情報局に続き、海外での諜報活動を行なう「対外情報庁」の設置や令状なしで通信を傍受できる「行政傍受」、外国政府の指示による活動を把握するため、刑事罰を伴う「外国代理人登録制度」の導入などが浮上している。スパイのレッテルが国内の外国人支援の市民や報道活動に向けられる懸念は大きい。問題点を識者らが読み解く。
- 警鐘鳴らす中谷雄二弁護士に聞く
監視社会の強化思想あぶり出す危険性スパイ工作からの防衛を目指す政府の情報収集の強化は、市民運動の弾圧や監視社会の深化につながりかねない。1985年の国家秘密法案(スパイ防止法案=廃案)や2013年の特定秘密保護法の反対運動に取り組み、大垣警察市民監視違憲訴訟などの原告代理人も務めた中谷雄二弁護士に、スパイ防止法制の問題点を聞いた。
- 高市政権の情報機関設計の問題点
世界標準と異なる中央集権型は米国従属を
反映した可能性インテリジェンス組織にはどのような「設計思想」が必要で、どのような「副作用」があるのか。各国の情勢に詳しい外務省の元国際情報局長が、高市早苗政権の動きを批判する。
- スパイ防止法関連年表(1979年〜)
言論統制に傾いた戦前の失敗
内閣情報機構90年の歴史に学べ高市早苗首相の下で国家情報局が発足し、来年の通常国会ではスパイ活動阻止の新法も焦点となる。内閣情報機構の歴史は90年超に及ぶ。始まりは満州事変の反省からだったが、後に言論統制へ傾き、戦後も世論誘導の危うさが残った。その歩みを、インテリジェンス史に詳しい岸俊光氏が振り返り、戦前の失敗が示す教訓を探る。
- 『熊本日日新聞』スクープ 陸上自衛隊「現地情報隊」による思想調査
非開示の闇で膨らむ数千人分の市民情報「愛国心」や「性的嗜好」などの個人情報を自衛隊が収集していた。その実態を明らかにした『熊本日日新聞』の一連のスクープに携わった迫田真帆記者に舞台裏を寄稿してもらった。
- 市民によるイラク派兵反対運動を「反自衛隊活動」と表現
裁判で違法と認定された自衛隊情報保全隊の国民監視自衛隊は以前にも市民の情報収集を行ない、しかも裁判で違法と認定されていた。この自衛隊情報保全隊の監視差し止め、国家賠償請求訴訟を闘った小野寺義象弁護士は、スパイ防止法制定は違法行為を正当化することだと訴える。
- 1週間単位で記載された東北方面情報保全隊長の「情報資料」
- 『北海道新聞』記者拘束を外交カードにするロシア
問われる日本の救出外交と捜査権限の拡大ロシア当局による『北海道新聞』記者の拘束事件は、対ロ制裁や北方領土問題に影を落とす外交問題として長期化しそうだ。日本政府は直接交渉や第三国の仲介を通じ、早期解放を実現すべきだ。一方、国内では「スパイ防止法」の制定を急ぐ声もあるが、恣意的運用は監視社会を招く危険をはらむ。
- 新連載
「原発のない国」から
法律で原発を禁止したオーストラリア 1
総選挙で原発批判の与党が圧勝 - 訃報
知と行動で人生を耕した人
玉村豊男 エッセイスト・ワイナリーオーナー - 芸能時評(9)
人々が望む日常を訴える舞台『兄おとうと』 - 新シリーズ
【提携連載企画】 熊本・健軍から 1
市民に抗議すらさせない、深夜のミサイル強行搬入
「誰も助けてくれない」 - くらしの泉
【労働】
非正規労働者の待遇が少し改善
「同一労働同一賃金ガイドライン」 新・買ってはいけない(435)
余計なモノをまとった 「コンビニおにぎり」 - きんようぶんか
映画『済州島 声たち』のチ・へウォン監督に聞く
4.3事件で苦しみ続けた女性たちの声
【本】
『鶴見俊輔の発想法』
『金子文子 獄中のうた』
『かわいそうな日本のわたし』
【映画】『55 FIFTY FIVE/番号で呼ばれた少年』
【音楽】『フジテレビ系ドラマ「さよならノワール」オリジナルサウンドトラック』
【映画】『さよなら、私のロシア』
【TVドキュメンタリー】
次号予告:11月13日(第1592)号
【民意切り捨てる衆院31議席減 真の選挙制度改革を探る】 ●重要なのは選挙区割や定数だけではない 求められる政治資金改革や政党交付金、クオーター制の議論|金本裕司・菅沼栄一郎 ●古川元久・国民民主党代表代行に聞く 今回の見直しは抜本改革を実現するまでの「つなぎ」|聞き手・菅沼栄一郎 ●福島伸享・元超党派議連幹事長に聞く 選挙制度改革と国会改革を一体のものとして議論すべき|聞き手・菅沼栄一郎 ●田中秀征・元新党さきがけ代表代行に聞く 小選挙区制は政治家を劣化させる|聞き手・金本裕司 【高市政権1年「首相の資質」を問う】 ●「消費減税」が問う財政民主主義 政治の時間軸を補う独立財政機関を|小黒一正 【動き出したスパイ防止法制】 ●住民や兵士が身内に殺される虐殺事件が頻発した沖縄戦 「スパイ」は身内に殺意が向く『毒語』|三上智恵 【安保3文書改定】 ●有事に備える「空港・港湾」指定拡大 「国策協力」踏み絵迫られる自治体|平野次郎 【映画『さよなら、私のロシア』】 ●元露国営テレビキャスター、ジャンナ・アガラコワ監督に聞く 「私はプロパガンダに加担していた」 【好評連載】 ●風速計 いのちのとりで裁判 最高裁で原告側が再び勝訴|雨宮処凛 ●政治|西川伸一 ●Tansa 熊本・健軍から2 熊本1区選出の木原稔官房長官、住民の不安を報じた地元紙『熊本日日』記事を「印象操作」と批判 ●メディアウオッチ 他国のデモは報じても自国のデモは報じない日本の報道機関|田幸和歌子 ●食 ジャガイモの輸入解禁か? トランプ大統領にNOと言えない日本|垣田達哉 ●不謹慎な旅 奥能登・珠洲 被災地にアート|写真・文 木村聡









