編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

岡田元編集長を悼む

 本誌元編集長の岡田幹治さんが、7月21日に心不全で急逝されました。80歳でした。新潟県高田市(現上越市)出身で朝日新聞社に入社後、ワシントン特派員、論説委員などを務めて定年退社。本誌2002年7月5日号~04年1月30日号で編集長を務められました。

その後、フリーランスのジャーナリストとして本誌でも環境・健康問題を取材・執筆されました。金曜日刊の『香害』はつい最近増刷したばかりでした。

 私は1990年代後半、市民団体主催のエネルギー円卓会議でお会いしたのが最初でした。大手企業や官僚に対してだけでなく、市民に対しても言うべきことは言うという姿勢に徹しておられ、編集長時代もその姿勢は変わりませんでした。

そうかといえば、同行取材後、「この辺にうまい和菓子の店があるんだよ」と言われて一緒に探したことも。労いに持たせてくれようとしたようです。店は休みでしたが、心遣いが嬉しかったです。

 葬儀はご家族で済まされたとのことです。心から哀悼の意を表します。

爆発的感染

 各地で大雨による被害が出ている。被災された方々にお見舞いを申し上げます。コロナ感染の不安もある中、たいへんな状況です。

 コロナは「爆発的感染」を起こしているように思える。重症者は連日最多を更新。今週号では山岡淳一郎さんが現状をルポし、問題点を指摘している。

 私の住まう区は他2区と合同ワクチン接種を東京ドームで16日から行なっている。ドームが場所を無償提供しているというが、会場ではジャイアンツのマスコットの着ぐるみが白衣を着て迎え、医師や看護師は揃いのユニフォーム姿。「ジャイアンツ祭」と見紛う様子がテレビニュースで流れる。こっそり伺うと、医師「ほぼ強制です」。看護師「びっくりしました。おかしいと思う」。

ワクチン接種の有効性とリスクについては参考になるデータはいろいろ出ているが、最終的には本人の希望次第。健康状態によっては医師が止める場合もある。接種をしていないということで不利益な扱いをすることだけはやめてもらいたい。

Society 5.0

 米国では東京五輪のテレビ視聴率が想定より低く、局がスポンサーと補償について話し合うと報じられた。身体の極限を競うことで人々に“夢”を与える祭典が、一部の企業や五輪ファミリーの利権の装置に堕しており、巨額の税金が投入されていることが今大会で可視化された。

 たまたま日本経済団体連合会の出している『経団連』のここ数年の目次に目を通す機会があった。五輪については驚くほど取りあげられていない。

 話題はSociety 5.0についてばかり。Society 5.0とは「サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会」。こちらはデジタル革新のもたらす“科学の夢”というところか。

 気になるのは、巨額の税金が当てにされていること。お腹をすかせている人をそのままにしておいて“夢”もないだろう。皮切りは来月のデジタル庁創設。

 最後に訂正とお詫びを。先週号の本欄で取りあげた「ケ・セラ」は「ケ・サラ」の間違いです。