編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

問題のありか

「あなた、147日間休まず働いてみたことありますか?」(今週号「無責任架空対談」)。連続執務の安倍晋三首相に休息が必要だと主張する麻生太郎副総理が今月17日、いつもの上から目線で発した台詞だ。

“おまえら、口出しするんじゃねえぞ”と言いたげだ。「芸人なら普通にあるんじゃないの」「主婦は365日休みなし」「首相動静で休みだらけなのはバレバレなんだが」とか、議論はおおいに盛り上がった。

 もちろん休養は誰にも必要なものだから、取るなとは言わない。大事なのは執務の中身。憲法に規定された臨時国会の早期召集を野党が求めても、コロナ対策についての会見を求めても、応じない。一義的な責任を果たさないことが問題なのだ。

 またまた今週号からで恐縮ですが、「健康不安説拡大する安倍首相の引き際」で南彰さんが重要な指摘をされている。(体調ばかりに焦点が当たって)「報道のフェーズ(位相)が変わったのは事実です」

 え? まんまと乗せられちゃったわけ?

正直驚いた

 慶應義塾大学病院への検査入院が発表されて、この間くすぶっていた安倍晋三首相の健康不安説が信憑性を増した。ポスト安倍をめぐる動きも一気に活発化するのだろう。

 などと書きながら、一方で、一個人の健康状態にさまざまな思惑が交差し、それがニュースにされてしまう政治家という仕事はつらいものだなあと感じたりする。このタイミングでただの「入院」はありえないということでしょう。

 もっとも安倍さんの場合は、これまで投げかけられたさまざまな疑惑が、自身の降板で一気に解明されてしまうという別種の不安がお強いのかもしれませんが。お察しします。

 モリカケからはじまる一連の疑惑は安倍長期政権のおごりとも言われる。今週号で取り上げた産業遺産情報センターの特集をみると、安倍政権の体質そのものにしか思えない。

 今回“おともだち疑惑”が投げかけられているのは加藤康子センター長だ。加藤氏の月刊誌への執筆記事には正直驚いた。何に驚いたのか──まず、今週号の特集を読んでいただきたい。

心底言いたい

 安倍晋三首相は巣ごもり中? コロナ感染拡大で政府の対応が求められているのに、野党が要求する臨時国会を開く気配もないし(今週号で53条違反をめぐる裁判を取りあげている)、政府の方針を説明する記者会見もしない。

“舎弟”議員からさえも、「政府は広報を至急改善を」と批判が出ていてちょっと驚いた。「さよなら!アベ政治」と心底言いたい!

 市民生活はコロナ禍に加えて日照不足と多雨のために、野菜が不作で高騰。契約している宅配では2週にわたってジャガイモが欠品。盤石な“ジャガイモネットワーク”が綻びを見せるなんて、よほどのこと。

 コロナが心配でお盆には実家にも行けない。時間ができたのでこの機会に読みたいと思っていた本を読もう。D・エルズバーグの『世界滅亡マシン 核戦争計画者の告白』(岩波書店)をはじめ、法律、詩、さまざまな会報も。

 今週号はこの夏二度目の合併号になるので、来週の刊行はありません。21日号でお会いしましょう。