編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

1万筆を超えた

「公正さ」という言葉が安倍晋三首相には理解できていないとしか思えない。佐川宣寿国税庁長官(前財務省理財局長)の罷免を求める要望書が目標の1万筆を超えた署名を添えて21日、財務省と国税庁に提出された。

「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」がネットなどで署名を呼びかけた成果だ。佐川氏に関しては国会での答弁が虚偽であることが、報道などで明らかになっている。罷免を求める主な理由は、日本国憲法15条第2項「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」で謳われている適格性を欠くことだ。

 にもかかわらず、税金を集める役所のトップに収まり恒例の就任会見も開かずじまいというのは、呆れるしかない。

「首相の悪事をかばうことで出世が叶うなら社会正義などなくなってしまう」「税務職員として仕事がしにくいので、早く辞めてくださるようお願いします」などの声が同会には寄せられている。「人の噂も七十五日」、このまま逃げられると考えているとしたら、大間違いだ。

安全の内実

 米領グアム島沖を標的とした朝鮮民主主義人民共和国による“ミサイル発射計画”なるものに対し、日本政府は大掛かりな準備を整えた。本当にミサイルが落ちてくるの?

 一方、米軍の普天間飛行場所属のオスプレイが今月5日、オーストラリア沖で墜落事故を起こした。政府はいったん国内の飛行自粛を要請したものの、事故原因が明らかになったわけでもないのに、11日には飛行を容認した。

 ミサイルとオスプレイ、もともと比較にならない話で、どちらがどれだけ危険性があるのか、正直私にはわからない。前者は集団的自衛権の問題も絡んでいるようだ。だが、少なくともデモンストレーションでなく、住民の安全を第一に考えているのなら、一貫した態度を示すべきだろう。これだけ事故が頻発するオスプレイの飛行に対して、厳然とした態度が、なぜとれないのか。

 安全の内実を軽んずる日本政府、その長たる安倍晋三首相の言動に、私たちは悲しいかな、慣れっこになってしまっている。

連携プレー

 7月16日、富山で開かれた「女性レッドアクションとやま」の活動と学習会に参加させていただいた。ちょうど共謀罪施行にあわせた抗議集会の直後にあたり、さらに3連休のあいまで、小雨が降る悪天候という悪条件が重なったが、参加された方々のメッセージは力強かった。

 報告を今週号に書かせてもらった。介護の現場からのお話なども興味深かったが、記事にすべて盛り込めなかったのが残念だ。本誌読者の方もいらして、「私はいつもここから読みます」「××の記事がよかった」などの感想も伺えて励まされることが多々あった。帰りにはキュウリとインゲンをいただいた。

 24日には東京で、弊社の単行本『検証産経新聞報道』の刊行に合わせ、高田馬場の早稲田奉仕園で集会が開かれた。報道関係者の方も多かったが、読者会の方の姿もあった。右派メディアと裁判中の植村隆さんのために、高嶋伸欣さんが貴重な資料をお持ちくださった。連携プレーの成果を、本誌でも報告できると思う。