編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

ひどいことに

 新型コロナウイルス感染がここにきてひどいことになっている。

 今週号で舘田一博東邦大学教授はサーキットブレーカーの仕組みの導入に言及されている。要は政治判断ではなく、目安となる数値があるレベルを超えたら感染抑止策を自動的に発動させる仕組みのことだ。もっと以前に政府や自治体は議論すべきだったろうと言いたくもなるが、遅すぎるということはない。

 また、受ける、受けないは個人の判断だが、ワクチンの供給体制の遅れも隠しようのない事実だ。あんなにひどいことになっていた英国の状況が改善しているのをみると、溜息が出る。

 もっとも3月26日号本誌で色平哲郎医師は、“細菌兵器を研究しているところは防御のための技術、ワクチン開発も進んでいる。米国国立衛生研究所の予算は日本医療研究開発機構の30倍近い金額。ワクチン開発の速さだけで物事を論じるのはどうか”と疑義を呈されている。たしかに……。

 いずれにせよこの状況での東京五輪・パラリンピック開催は危険すぎる。