編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

処方箋

 貧富の格差が拡がる。

 新型コロナウイルスの感染拡大でアマゾンは大幅増収。本誌先週号によるとCEOは毎日資産を約10億円増やしているという。また、保有資産10億ドル以上の世界の超富裕層はこの1年ほどで資産を200兆円増やし、あふれた資産が株価を上げ、富裕層がさらに豊かになっているという(『日本経済新聞』12月21日付)。

 別世界の話としか思えない。コロナ禍で職を失い、公助も受けられず、厳冬の中、寒さと空腹に耐える人たちがこの国にも多くいるのだから。

 元日の『毎日新聞』によると、日本の富裕層は、国内未承認の中国製の新型コロナワクチンを打ち始めているという。コロナ治療薬のアビガンも未承認だが、有力者の一部はコネで手に入れ、感染の早い段階で服薬しているという話を以前、関係者から聞いた。

 その効果やリスクはともかく、経済力で健康や命も左右されるという実態を思い知らされる。ワクチンも治療薬も必要だろうが、まず社会の不公平をただす処方箋を、政治に求めたい。