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『美味しんぼ』が批判的に取りざたされている。

編集長コラム

『美味しんぼ』での主人公らの福島取材後に鼻血を出す表現、そして井戸川前双葉町長の「福島に住んではいけない」という台詞が風評被害を助長するという意味合いで批判的に取りざたされている。STAP細胞騒ぎ同様、マスメディアは科学的な検証能力を持っていないし、持とうとしないので、成り行きで騒ぎたい方向に騒ぐだけだ。 

 さて5月6日に、千葉県市原市で催されていた芸術祭、「いちはらアート×ミックス」に出かけた。編集者の笠原一久さんに声をかけられて、開発好明さんの「モグラTV」という番組に一緒に出演したのである。開発さんは南相馬市に「政治家の家」という掘っ建て小屋を建てた芸術家。政治家には現場に来てほしいという皮肉だろう。その作品は笠原さんが昨年『AERA』で記事にし、その記事が『美味しんぼ』の原作者である雁屋哲さんらの福島取材へとつながったと聞いた。開発さんにはさらに「マスコミの家」「記者クラブの家」なども福島に作ってもらったらどうか。(平井康嗣)