編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

リベラル色のあった初期民主党政権は「新しい公共」を掲げ選ばれた「市民」を政権に参加させた

編集長後記

 リベラル色のあった初期民主党政権は「新しい公共」を掲げ選ばれた「市民」を政権に参加させた。この結果、政治と「市民」との距離が縮まったように見えた。ビッグブラザーなどは存在しない、政府は使うものだ、話せばわかるという意見も拡大した。そうなればいいと私も思う。

 一方、スノーデン氏の内部告発を待たずとも、国家の盗聴・監視秘匿とその暴露のいたちごっこはもはや宿命だ。NSAにとって最初の盗聴暴露は一九六〇年に日本で起きた。横浜盗聴局にいた二人の暗号官がソ連に寝返ったという。その後もNSAの通信傍受は米国内で度々暴露されてきた。七五年にはNSA長官によってジャーナリストや俳優など数千人の盗聴、ベトナム戦争反対者が監視されていたことが明らかにされた(コッホ+シュペルバー共著『データ・マフィア』より)。

 日本でも「盗聴法」が改定されそうだ。いま日米軍事同盟が強調され敵や不安のコントラストが強まり、まるで「戦前」だ。このままでは未来は明るくない。