編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

「自民党改憲草案徹底批判」シリーズを始めます。

編集長後記

 今週号から「自民党改憲草案徹底批判」シリーズを始めます。なぜ憲法を国家の要に置く立憲主義が存在するのでしょうか。それは国会という “民主主義”の暴走を防ぐためです。選挙で大勝し国会で多数派を占めたとしても、憲法は政治家、共生者である経済界の歯止めとなります。与党政府は法律をつくれても憲法はおいそれと改正できないからです。それが均衡と抑制を常に考える立憲主義なのです。

 しかしそうするとある時代の多数派には憲法が邪魔になります。こうした結果が今です。戦争の痛みを世界中が共有しえていた時代の国際社会の知恵も織り込んだ今の憲法と決別し、日本の特有性を強調して独善的に劣化させたい、となってきました。

 このタイミングで広島高裁(筏津順子裁判長)は「違憲審査権も軽視されている」と国会を批判し、一票の格差訴訟で戦後初の国政選挙無効を言い渡しました。私はこの発言は憲法をないがしろにする今の政治家に向けられていると思いました。到底、自民党草案は呑めません。(平井康嗣)