編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

福島県内では低線量被曝が続いている。

編集長後記

 福島県内では低線量被曝が続いている。被曝について、科学的には不明な点もあるが、線量が上がればがんにかかる確率はあがるのだから、このような場所にいることは避けたほうがよい。政府や東京電力は一〇〇%安全だと証明でき、除染が終わるまで避難をさせておくべきだ。

自主避難についてはNGOも支援を続けているが、原発に批判的な報道は減っている。いよいよ原発必要論などが大手を振り始めた。原子力産業はウラン採鉱から運転まで被曝と差別がなければ成り立たない。それを続けるのか。しかし、情報の川上にいるメディア関係者は机上の議論に戻ってしまっている。

なぜだろう。大きな問題として多くの論者が福島県の現地に入った体験がないからではないか。想像力のたくましい人は情報を追体験することで理解し共感できるだろう。しかし現地の空気を吸わず、現地の声を聞かない、知識だけにもとづく言葉はぶれる。放射線は見えるものではないが、報道関係者には福島の土を踏んでほしいとも思ったりする。 (平井康嗣)