編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

長寿先進国のイメージがすり込まれているが、自殺や孤独死など不幸な死者を生み出し続ける今の日本社会は異常だ。

編集長後記

 長寿先進国のイメージがすり込まれているが、自殺や孤独死など不幸な死者を生み出し続ける今の日本社会は異常だ。そこで、今週号は実は身近に存在している「死」を見つめることにした。死を意識すれば、生をあらためて感じるということもある。卑近な例だが私も一九歳の時、車で山に激突、全損する事故を起こし、九死に一生を得たことがあり、それを機にようやく少しは真面目に勉強しようと思い立ち、丸刈りにもした。

 ところで楽屋オチかもしれないが、今週号の編集委員座談会でもっとも衝撃的だったのが、本多勝一さんがトレードマークであるかつらとサングラスを外して写真を載せたことである。ご本人の講演後の打ち上げなどで素顔を見た読者も少なくないと思うが、それでも写真撮影は基本的にNGだった。右翼筋からご自身や家族が命を狙われていたことがあるからだ。「本当にいいんですか」と出席者は口々に言ったのだが、「もう誰もおれを狙っていないでしょ」と本人は飄々としたものでしたよ。   (平井康嗣)