編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

「通販生活頑張れ」

「ニュースを聞いてすぐにXに『通販生活頑張れ』と書いた。どんなビジネスでも道義性があってしかるべきだと。そういう見識を示したことに非常に僕は感動した」

 思想家の内田樹さんは、8月22日に東京都内であったカタログハウス主催の「憲法9条を考える日」と題したセミナーでそう語っていました。戦力不保持と国の交戦権を否定する9条2項を「人類の次の段階。われわれが目指す方向を明々と照らしている」と強調していました。

 カタログハウスは18日、今年3月に始めた通販サイト「楽天市場」への出店取りやめを発表。理由を「『攻撃型ドローン』の導入支援および国産化を推進すると報道された。企業理念とは相いれない」としています。

 23日亡くなった石川文洋氏の『写真記録ベトナム戦争』(金曜日)には数々の残虐な場面も収められています。高市早苗首相こそ手に取ってほしい写真集です。(臺宏士)

反省

「反省なんかしていないし、反省を求められるいわれもない」。新進党所属だった高市早苗首相は1995年、栗山尚一駐米大使(当時)が記者会見でした「第二次世界大戦の反省のうえに立って戦後の日本がある」との発言を取り上げた国会質問に絡んで、自らの歴史認識を開陳しました。

 首相は8月15日にあった全国戦没者追悼式の式辞に反省の言葉を用いませんでした。94年に村山富市首相(同)が使い、歴代首相は引き継ぎました。安倍晋三首相(同)は取りやめ、石破茂首相(同)が13年ぶりに昨夏、復活させましたが、再び戻りました。

 国旗損壊処罰法の施行が気になり、同15日正午の靖国神社を訪ね、小雨の中でスピーカーから流れる式辞を拝殿近くで聞きました。昨年と同じく静謐で、やはり同法は不要です。心配は希薄化する新聞界の反省。式辞を批判的に論評した在京6紙の16日社説は『朝日』『東京』『毎日』の3紙のみでした。(臺宏士)

憂鬱な夏

 敗戦から81年。高市早苗政権になって初めての夏はこれまでになく憂鬱です。2月の衆院選で自民が大勝すると、殺傷可能な武器輸出解禁をはじめ高市首相のいう、「国論を二分する政策」が次々と実現しているからです。

 本号の敗戦特集は、戦後社会が大切にしてきた平和国家の理想が崩れていく、いまの日本の姿を浮き彫りにする企画にしました。敵基地攻撃という名目で国際法違反の先制攻撃に道を開く長射程ミサイルの実戦配備は、専守防衛ばかりか、武力による威嚇を禁じる憲法を逸脱した政策です。

 防衛ジャーナリストの半田滋氏はミサイル配備の町をルポ(18頁)。神奈川県横須賀市で出会ったのは「憲法9条が自衛官を守っている」と書かれたプラカードを手にした元海上自衛官でした(表紙)。護衛艦の砲術長を経験し、武器に詳しい。「熊本に置いてはダメ。途端に攻撃対象になる」。元自衛官の言葉だけに重みがあります。(臺宏士)