編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

国旗損壊罪

 自民党は、国旗損壊罪の新設をめざしてプロジェクトチーム(座長・松野博一元官房長官)を立ち上げる。小林鷹之政調会長が3月19日の会見で発表した。一方、広島弁護士会のように反対表明する団体も。同会は2月、日本国国章損壊罪の法制化に反対する会長声明を発表。米国での違憲判決を引き合いに、国家の名誉的利益は刑罰で維持されるものではない、とした。

 今号で憲法学者の志田陽子さんは、国旗損壊罪が新設されると「言論への萎縮効果が高くなる」と話す。ジャーナリストの永尾俊彦さんは「日の丸」問題にこだわってきた表現者や教員のほか、「日の丸・君が代」不起立の裁判にかかわる弁護士にも取材。その弁護士の言葉「社会全体が学校のようになりますよ」には、はっとさせられた。教員が不起立で処分されていくのを、私たちは対岸の火事のように眺めていたのではないか。教員たちの姿は私たち一人ひとりであった。(??田亮子)

3・11から15年

「ガソリンの値段があがっている」。3月12日、東京郊外では30円以上あがったとつれあいが言う。ペルシャ湾で石油タンカーが攻撃された。イラン情勢が日本の市民生活に影響を及ぼしている。高市早苗首相は新たなガソリン補助金や石油備蓄の放出を表明しているが、どうなることか。

 8日に投開票があった石川県知事選では、高市首相(自民党総裁)が応援に入ったものの、勝ったのは現職の馳浩氏ではなかった。もう一つお伝えしたいニュースは、新潟水俣病第2次行政訴訟で新潟地裁が、原告8人全員の「水俣病認定」を命じたことだ。くわしくは次号以降で。

「3・11から15年」の3回目は、放射能データについて取り上げた。当時の被ばく状況に改めて驚く。崔善愛編集委員の「風速計」や毎月福島へ通う渡辺一枝さんへのインタビュー「歓喜へのフーガ」も合わせてお読みいただければ。「3・11」のシリーズはさらに続く予定。(吉田亮子)

イラン

 東日本大震災から15年を迎え、3月7日に「東電フクシマ原発事故から15年 とめよう原発!」集会があった。本誌3月6日号でも原発回帰を問うべく市民団体に話を聞いたが、同様の危機感が共有された(アンテナで詳細報告)。出店したブースを訪ねてくれた読者に感謝申し上げたい。

 イランへの軍事攻撃から1週間。今号では早尾貴紀さんに解説していただいた。さまざまな情報が飛び交うなか、米国がAI(人工知能)を搭載したとみられる「自爆型ドローン」を使用したとの報道も。専門家によると、自分で対象を見つけ出し攻撃計画を立てるというから恐ろしい。

 こうなると、やはり今号で取り上げた「F—REI」をはじめとする福島イノベーション・コースト構想を思わずにいられない。南相馬市にある「福島ロボットテストフィールド」の公式サイトには、ドローンやAIの文字が並ぶ。学術界と政治は距離をとるべきだろう。(吉田亮子)

訂正

 米国とイスラエルがイランを攻撃、小学生を含む市民に犠牲が出ている。ホルムズ海峡の事実上の封鎖で日本への影響も否定できない。直前に「エプスタイン文書」からトランプ氏の資料が欠落している可能性が報じられ、関心をそらすためとの疑惑もある。イラン、中東情勢は次号で。

 本誌2月13日号「歓喜へのフーガ」30頁、福岡県水巻町にあった炭鉱で戦時中、強制的に働かされた元オランダ人捕虜が町を再訪したのは「20年ほどあと」ではなく「40年以上あとの1986年」でした。訂正してお詫びします。

 また、亡くなった捕虜のための十字架の塔については、〈捕虜の扱いをめぐる連合軍の調査を恐れた日本炭鉱(編注・日炭高松炭鉱)が、一週間でコンクリート製の十字架を作って外観を墓地のように整え、捕虜を埋葬、手厚く葬ったように取り繕った〉(2000年4月19日付『朝日新聞』)。その後、町の人たちが塔を整備した。(吉田亮子)