編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

民主党が政権交代をした当時、官僚排除と政権担当能力のなさが批判された

 民主党が政権交代をした当時、官僚排除と政権担当能力のなさが批判された。
 与党議員の経験がない政治家がただちに官僚を使いこなし、海千山千の企業と付き合うことは難しい。
 とはいえ言い訳は許されない。

 今、自身の政治家としての能力を隠すかのように公務員バッシングを続ける橋下徹大阪市長が次期総理だと、
書き得とばかりの報道もあるが、このような人物が政権を握り、国家公務員を民主党以上に突き放して政治ができるのか。
 たぶん迎合するのではないか。

 さて、今週号で一九九六年から続いた辻元清美さんの「永田町航海記」が本誌を卒業する。
 ピースボートを立ち上げ、市民運動のカリスマから、国会議員になり野党の女王となった辻元さんも今は民主党。
 入党後は与党の動きを誌面に反映してくれることを期待したが、書きづらかったようだ。
 中曽根総理のときに重しになった後藤田正晴氏をめざすと辻元さんは言っていた。
 憲法審査会などで、その役割を果たしていくと期待している。

先週末、浅草と吉原の間にあるスナックで飲んでいた

 先週末、浅草と吉原の間にあるスナックで飲んでいた。
 焼酎の水割りをやりながら(隅田川の向こうにある)ができてどう思う? と地元の店員に聞いたら、浅草は繁盛するんじゃないの、とのん気に言っていた。
 だからなに、案外そんな反応である。

 本来、押上周辺には受け皿はないから、ストローの両端のように街は結ばれ、人は流れるだろう。
 いまだにやくざがわかりやすくうろつく浅草周辺だが、そんな世界は知らずに二、三千円を支払い、塔に昇れば日本を知った気分にもなるだろう。
 

 以前住んでいた横浜で、渋谷と元町・中華街を結ぶみなとみらい線が開通したとき、東横線桜木町駅が消えた。
 近くの横浜随一の飲み屋街・野毛には案の定、経済効果は少なく、埋め立て地のこぎれいな街に観光客は吸い寄せられて行った。
 街文化ってそんなことの繰り返しなのだろう。
 ぼくらは「安全・安心」で「安価」な代物に「安易」に乗っかり、見えるべき顔を知らないようにしようとしてはいまいか。

五月五日、北海道電力の泊原発三号機が定期点検に入り、日本の原発はすべて営業停止した。

 五月五日、北海道電力の泊原発三号機が定期点検に入り、日本の原発はすべて営業停止した。

 この日、東京近郊はひさびさに晴天に恵まれた。空気がうまかった。
『週刊金曜日』は創刊以来、『月刊金曜日』時代から原発問題を扱ってきた。
 一九九三年七月二三日付けの創刊号では藤田祐幸氏が「誰が嶋橋君を殺したのか? 原発で働くある青年の死」を寄稿し、浜岡原発における差別的な被曝労働について告発している。
 とはいえこのような形で原発が停止するとは、私は信じ切れていなかったと思う。
 今は原発が点検のために停止しているだけだ。
 いずれ再稼働しかねない。

 小鳩に始まる民主党政権時代は二酸化炭素削減と「原子力ルネッサンス」の下、「オールジャパン」で原発輸出に前のめりだった。
 財政均衡と増税に夢中の野田内閣は様子見のようだがどう出るか。
 一方、自民党の改憲案が発表されたが、「公益」の下で人権を制約できると明記する逆走ぶりである。原発も「公益」としかねない危うい設計ではないか。

  (平井康嗣)