編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

与党・民主党が二〇〇九年衆院選で掲げたマニフェスト(政権公約当時は鳩山由紀夫代表、五五項目)が見直される方向だという。

編集長後記

 与党・民主党が二〇〇九年衆院選で掲げたマニフェスト(政権公約当時は鳩山由紀夫代表、五五項目)が見直される方向だという。民主党はこの国民との約束によって有権者の票を得て大勝したはずだが、マニフェスト実現に必要な財源がないこと、政権を担当してみて初めて官僚から知らされた情報があったことなどから見直すそうで、マスコミも歓迎している。このような与党の振る舞いをいつから公約違反と批判しなくなったのだろうか。

 結婚だろうが商行為だろうが“契約”成立後、当初予想していなかった事情が生じるのは当たり前の話だ。それでもよほどのことでもない限り守らなければならないから約束になる。たとえば民法第一条二項の「事情変更の原則」も、滅多に認められるものではないから原則であり、「伝家の宝刀」と呼ばれる所以である。

 そもそも政党そのものが、法律上の定義がきわめて緩い存在なのである。そんなヌエ的な政党だからこそ、公約で信用性を高めていたはずではなかったか。  (平井康嗣)

永田町の噂どおり与謝野馨が入閣した。

編集長後記

 永田町の噂どおり与謝野馨が入閣した。もっぱら公明党へのパイプづくりが狙いというから、財政再建は目くらましで地方統一選をにらんでのことかもしれない。考えすぎかな。あと噂されているのは舛添要一か。しかし内閣改造の結果として、支持率はさっぱりだ。いまや菅直人より伊達直人、タイガーマスクが人気である。だれかが児童養護施設にランドセルを届けた行為は全国に波及し、いまだに続いている。私はこの取材報道、特にテレビニュースを見るたびに目頭が熱くなってしまう。編集会議でそのことを言ったら、編集部員たちにひかれてしまった。
 ところで、菅直人を鍛えなおすためにどなたか政界版「虎の穴」(悪役レスラー養成所)に入門するようにアドバイスしてあげたらどうか。与謝野がかつていた自民党がそれか。とすれば与謝野がタイガーマスク? それはないけど、与謝野は菅にランドセルと文房具をプレゼントしてあげたらどうだろう。われわれには増税を、というのは絶対にやめてほしいが。(平井康嗣)

視ていないものを視たつもり、知ったつもりになりたくてメディアに接する。

編集長後記

 視ていないものを視たつもり、知ったつもりになりたくてメディアに接する。その結果、誤解や曲解が生じる。それを避けるためにさらに情報を集めるが不安は残る。
 一方、情報に溺れずとも自分の立場が強固だと実相がたやすく浮かび上がる人もいる。たとえば在日コリアン。さして勉強せずとも朝鮮報道のウソを見極める、と感心することがしばしばある。私などは取材し、議論し、勉強しなければ、その域にはなかなかたどりつかない。ただ日本人も、ときにハリウッド映画で描かれる典型的なニッポンジンを観れば、これはおかしいとすぐに声を上げる。以上は認識する力、リテラシーの一つの例。自分に関係がなく関心もない情報はなかなか見抜けないものだ。だがこのような当事者を限定してしまう、狭いアイデンティティ・ポリティクスに囚われてもいけない。世界に線を引いてはもったいないではないか。そうしてぼくは結局、いろんな事象に好奇心を持ってしまう。これからもなんにでも首を突っ込んでいくぞ。   (平井康嗣)