編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

編集長が代わります

 今週号をもって編集長を交代します。6年間務めたことが大きな理由です。

 小誌は1993年創刊、今年で23年、私に交代する前の2010年10月まで6人の編集長でしたから、平均3年未満。ほかの週刊誌も編集長は2年かせいぜい4年。『週刊金曜日』は独特の週刊誌ですが、毎週休まずに集中するにも限度はあるし、管理職は編集者のアナーキーさもスポイルするからこんなところでしょう。

 さて、この6年は戦後日本が退化し逆行するように激しく感じた時代でした。東日本大震災と原発事故、デタラメな第2次安倍政権の誕生と政党政治の形骸化、『朝日』バッシング、ネットメディアやSNSと伝統的メディアの乖離など社会は激変しました。

 出版を取り巻く経営環境も厳しいものがありますが、定期購読者に支えられる本誌の仕組みはひじょうに手堅いものがあり、読者の皆さんに御礼を申し上げるとともに創業者の先見性に頭が下がります。さて11月4日号からは小誌初の女性編集長です!

 また誌面でお目にかかりましょう!

働く意味

 電通社員の過労自殺が波紋を広げている。労務実態が核心だが、電通と言えばバブル期の「飲み」がゲスかった。連夜の接待で気絶、ノリでモデルを脱がせる、莫大な借金をつくる――。社員にとってはネタや武勇伝だろうが、結局上場後も驕ったマッチョ体質は毒抜きしきれずか。働く意味を問いたくなる。慶應大広告学研究会の事件もデジャブだった。

 一方、当事者に目を向ければ子どもが傷つけられ、突然亡くなってしまった。想像を絶するつらさだ。

 些末な私事だが、俺は小さいころから度々死にそうな目に遭ってきた。小学校一年4月に喧嘩をして母と謝罪行脚をしてすぐに頬に歯が貫通する事故を起こし6針ほど縫った。以来、恒例行事のように毎年けがして都合40針くらいは縫った。

 自業自得だが親は心配していたのか不明だ。俺が車にはね飛ばされたときに父は「こいつも不注意だ」と運転者を笑って帰した。そんな俺の子どもも山で100メートル滑落して無事生還。生き残れば人間万事塞翁が馬なのか。まだよくわからない。

やれること

 原発をやっているから何兆円ものバカ高い金を核燃サイクルや廃炉に注ぎ込む羽目になる。結局、電気利用者や国がコストを負担することで原発は成り立ってきた。電力会社や電力を大量に使用する企業もビジネスとして成立しているのか大いに疑問だ。

 リニア新幹線もいきなり胡散臭くなってきた。成長戦略の一案として国がJR東海に長期固定低金利で3兆円を融資する方向だ。海外に輸出するとも囁かれるが、経済効果が曖昧なのに、原発と同じで国はやたらと気前がいい。時速約600キロメートルで突っ走り、事故が起きれば大惨事になる点も原発とリニアは似ている。

 しかしここまで国がどっぷり関わって外堀を埋めてくると東京五輪と同じで、だれも計画を止められると考えなくなってくるだろう。政務活動費など数十万円のカネには世間はとびつきやすいが、ホントはこういう巨額の気前のいい話こそ厳しくチェックしなくちゃいけないはずだ。人工透析患者の医療費が高いと文句を言う前にやれることが沢山ある。

安倍首相と小池知事

 9月26日の安倍首相の所信表明演説中の自民党議員による総立ち拍手に、大げさかもしれないが戦慄した。これまでも党員の総立ち拍手はあったが、あの日の姿から伝わってくるのは暴力的な傲慢さや、その反対のお気楽さだ。政治に限らず物事には、目的を設定し、考えて行動し、最終判断をする手順があるが、旧民主党は熟議で判断ができず、安倍政治は違憲でも構わず乱暴に決めてしまう。

 では小池知事はどうか。周囲の友人に何に関心があるのか聞くと、「豊洲」だという声が多い。しかしどうにも関心が湧かない案件だ。地下の穴について連日、総力取材が続いており、小池百合子新都知事が名探偵のように、犯人をぶった斬る結末を世間は待っているらしい。小池氏はクールビズやハイブリッド戦闘機など話題づくり!?上手、郵政解散選挙の刺客候補としての喧嘩上手、などが印象にあるぐらいだ。結局、政治信念はよくわからず朝鮮学校の補助金支給停止などを見ても、ポピュリズム政治家にすぎないのではないか。