編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

しかし医者自身も

このところ友人の付き添いで病院へ行くことがあり、対応が変わっていないことに驚いた。医者との面談では、約束の時間が過ぎてから「遅れることを先生は伝えていませんでしたか」と看護師。いざ話がはじまると、「本人から何て聞いていますか」。なるべく省略し、短時間で済まそうとしている態度がありありだ。医者同士で情報が共有されず、「○○先生は何と言ってましたか」と別の医者に聞かれたと、友人もぼやく。

 今号では介護士や医療従事者、病院などが化学物質まみれで、対応してもらうことが困難な人たちを取り上げた。医療業界もほかと同じく人手不足。まだまだ理解されていない化学物質過敏症への適切な対応を求めるのは難しいのかもしれない。しかし医者自身も化学物質に晒され、体調が悪くなるとしたら、どうだろう。今は発症に至っていなかったとしても、化学物質は体内に蓄積されている。(吉田亮子)

あんにょんフェスタ

 秋はイベントが多い。なかでも、たのしみなのが朝鮮学校(ウリハッキョ)の「あんにょんフェスタ」(バザー)。まずは青空の下、七輪で焼肉だ。もちろん缶ビールでカンパイ! どうしてこんなにうまいのか。ほかにもオモニ特製のチヂミやキンパなども並び、ああ食べきれない……。

 しかもステージでは生徒や卒業生による民族楽器演奏なども。そして興味深いのは体験授業。ほら、いきたくなったでしょう(笑)。こんなふうに何かのきっかけで朝鮮学校を訪れ、応援するようになった日本の市民を取り上げた映画が『ソリヨモヨラ 声よ集まれ』(朴英二監督)だ。

監督はある上映会の舞台挨拶で「かつては朝鮮学校に日本の人が入るスペースがなかったように思う。今はみんなで未来を一緒に作る」。朝鮮学校を支える町田市民の会による上映会は9月20日(土)18時〜、東京・町田市にある西東京朝鮮第二幼初中級学校(成瀬駅)。(吉田亮子)

石破辞任

 石破茂首相が自民党総裁の辞任を表明した。米国の関税措置の対応に区切りがつき、今がその「タイミング」というが、参院選で掲げた物価高対策などの「停滞」はかまわないのか。「このまま(翌日予定の)臨時総裁選挙要求の意思確認に進んでは党内に決定的な分断を生みかねない」と説明、石破首相は国民ではなく党を守ることを選んだ。

 しかし選挙では自公政権にノーが示されたはず。政権をおりるべきは自民党そのものではなかったのか。この状況が既存政党への不信・不満を助長し、今号で取り上げたように参政党が躍進する要因となるのではないかと思う。

前号で報道写真家・中村梧郎さんに「80年前の9月、ベトナムは日本の植民地支配から独立した」を寄稿していただいたが、37ページの写真左端が編集部のミスで切れてしまった。そこに半分写っているのが中村さんである。心からお詫び申し上げたい。(吉田亮子)

学校

 内閣府によると18歳以下の自死は夏休み明けがもっとも多く、学校の長期休み明けに増える傾向があることがわかっている。そこで、大人はどうすべきかを取り上げるメディアが今夏はとくに目に付いた。なかでも気になったのは、保護者など子どもと接する大人のメンタル不調の影響が指摘されていることだ。

 実際、教師らの精神疾患による病気休職者数は過去最多で、もっと多いはずという声もある。教師にとって学校が「苦しい」背景の象徴的なものが、「日の丸・君が代」の強制だろう。学校、そして社会が大人にとって「生きづらい場所」であれば、子どもにとっても同じことである。

 この状況に対して、こども家庭庁は自殺対策室の設置や「こどもの自殺対策緊急強化プラン」などを掲げる。しかし必要なのは小手先の対策ではなく、子どもも教師も個が大切にされる教育制度への方向転換ではないかと思うのだが……。(??田亮子)