編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

橋下徹大阪市長が代表を務める大阪維新の会が憲法改正を公約の一つに打ち出した

 橋下徹大阪市長が代表を務める大阪維新の会が憲法改正を公約の一つに打ち出した。

正確に言うと、首相公選制などを掲げるため法体系的に憲法改正が迫られるのだ。
となれば、ここで確認しておきたいことがある。
橋下氏は自分が護憲派であることを理解しているのかという点だ。
憲法改正派とは一種の護憲派だからだ。矛盾していない。
脱憲法的な政治家は憲法を改正などせずにこっそりと違憲状態を作り出す。

しかし改正論は憲法を護りたいからこそ憲法を改正しようと考えるのである。
改正した憲法を国民に護らせたいと考えるなら、なおのこと誰よりも今の日本国憲法も護らなければならない。
今の憲法を護り抜くから改正した憲法を護り抜けるのだ。

それが立憲民主国家において、憲法改正を主張する政治家の最低限の条件となる。

では橋下氏はどうか。
大阪市総務局が行なった労働組合活動へのアンケート調査は憲法違反の疑いが濃厚だ。
これは橋下氏が指示したものである。憲法改正を主張する政治家として破綻している。

(平井康嗣)

岩波書店が社員募集をした

編集長後記

 岩波書店が社員募集をしたが、著者の紹介状か社員の紹介がないと応募資格がないとし、これには私の周囲でも賛否が割れた。社内的に “熟議” し合理的と判断したのだろう。

 同社の場合、雑誌もあって多くの執筆者が書いているし、大学の教員も多い。ただいわゆる有名大学に行っていないと受験資格がほぼなくなるだろう。ちなみに私も『食から立て直す旅』を金子勝さんとの共著で出している(注:宣伝)。

 今週号の特集で連想すれば暴排条例による暴力団の可視化で一般市民を巻き込んだ警察と類似しているとは言い過ぎか。仕事の一部を外部化したという意味だ。

 では「金曜日」ならばどうか。弊社は零細出版社と事情が違う。欠員が出ないと募集しないし、岩波書店のような数千という応募も来るわけではない。

 私の場合で言えば、前職が町工場と出版業界と無縁で、紹介を得ることは不可能ではないが雲を掴むような話。今ここにいないことは間違いない。自分のアイデンティティを否定する社員募集はできないな。 (平井康嗣)

昔、松本清張原作の『鬼畜』という映画を子どもの頃に観て、鬼継母(ほとんど死語か)

 昔、松本清張原作の『鬼畜』という映画を子どもの頃に観て、鬼継母(ほとんど死語か)の岩下志麻に心底震え上がった。
 私の母はむかーし、岩下志麻に似ていると言われたことがよい思い出らしく、岩下主演の『極道の妻たち』も贔屓にして観ていた。
 だから『鬼畜』を一緒に観に行く羽目になったのかといま思いいたった。

 実際、「鬼畜」だったかといえば、ホラー映画を観るために銀座の映画館に付き合わせたことぐらいが、私への “暴力” ?という、虐待とはほど遠い暢気な親である。

 だが、今や「鬼畜」を超えるような事件が日常的に報道されており、腹立たしい。
 実際、表を歩いている子どもはまだましで、家に閉じこめられっぱなしで放棄されている子どもはどれほどいるのだろう。
 幼い子どもは、親や大人を無条件に信じるから文句を言うことすら知らない。
 医者が患者を、弁護士が依頼人を騙さないという職業上の信任関係があるが、親子の日常的な関係はすべてそれ以上のはずだ。
 「大人」は子どもを裏切ってはいけない。

震災直後、さまざまな対策本部で議事録が作成されていなかったことが発覚し問題になっている

 震災直後、さまざまな対策本部で議事録が作成されていなかったことが発覚し問題になっている。
 今さら取り返しがつかない話だ。
 議事録をとらなかった理由について政府はつまびらかにしていないが、
この話は以前政府に出向していた官僚から聞いたことがあった。

 この一件を文字にしていた気になっていたが、書いていなかったとは私もうかつだ。
 災害直後の混沌はあったのだろうが、昨夏に取材した某官僚によれば、議事録の不在の最大の原因は、「政治主導」だと言っていた。
 
 重要な会議には官僚を参加させず、口ははさませないようにしていたからだと言う。
 「政治主導」の是非はともかく、公文書として記録が残らないことに私も強い危機感を抱いた。
 某氏はこれはマズイと密かに手帳に記録をとり続けたという。
 どうにかメモを公開させようと交渉もしたが、クビ覚悟の話になるため叶わなかった。

 今民主党政権にはほかにやるべきことがありそれを優先してほしいが、法と国家をどこまで考えているのか、また疑問を抱いた。