編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

遺品整理

 遺品整理の業者と話をする機会があった。12月22日で最終回を迎えたテレビドラマ「終幕のロンド」の主人公も遺品整理人の設定。さまざまな思いを抱える遺族に対し、理不尽なことがあっても「私たちは故人の思いを伝える責任がある」と寄り添おうとする姿が胸を打つ。そんな話をしていたら、あんなもんじゃない、ドラマはきれいすぎ、今日は天井までごみがあふれていた現場だった、という。

 亡くなった友人の家は片づいていたがモノが多い。とくに手芸用品があちこちから出てくる。ポーチや手袋などをつくってもらったが、プロ並みの作品の後ろには使わなかった材料がたくさんあるということ。仕事ってそういうもんだよね、としんみりしていたら、私が10代のころの写真が出てきてギャー! なつかしさに手が止まるが、片づけの期限が迫る。ともあれ、この1年の本誌を支えてくれた読者のみなさまに感謝申し上げたい。(吉田亮子)

ガザ

  がれきの中に埋もれるように置かれた赤ちゃんの人形。小さな身体に巻かれた布は白と黒で配色されたパレスチナの伝統的スカーフ、クーフィーヤ。これは2023年のクリスマス、ヨルダン川西岸のキリスト生誕の地とされるベツレヘムの教会でキリスト降誕場面を表現した展示だ。

 ムンター・アイザック(訳によってはムンテル・イサクもあり)牧師は「もしイエスが今日生まれたとしたら、ガザのがれきの下で生まれるだろう」、そう言ってジェノサイドに抗議し、この年も次の年もこの教会はクリスマスを祝うことを中止したという。牧師は、イスラエルはパレスチナが神から与えられた「約束の地」という聖書の時代をいつまで生きるのかと憤る。

 イスラエルによる攻撃は今も続いている。ガザ保健省は11月、23年10月以降の死者数が7万人を超えたと発表。ユニセフによると、停戦発効後も67人の子どもの命が奪われている。(吉田亮子)

小室等さん

 小室等さんの「なまくらのれん」が今号で最終回となった。暖簾をくぐるイラストレーションとともに和田誠さんから引き継いだ連載だった。

 1回目は東日本大震災から2年をたたずして人々の「認識が希薄」だと怒りつつ、小出裕章さんと佐高信さんが対談本『原発と日本人』を出したことや、小出さんが震災後から出演していたラジオ番組が突然打ち切りになってしまったものの新番組が立ち上げられたことなどが綴られる。

 そう、小室さんはいつだって憤っている。だからチェルノブイリ(チョルノービリ)原発事故や能登半島地震などなど、被災地に赴いては人を励まし、情報発信せずにいられないのだろう。13年分の心からの感謝を申しあげたい。

 なお、中山千夏さんの「はまぐりのねごと」も今号で最終回。こちらは新連載を準備中なのでおたのしみに。そろそろ、小室さんが歌う「O HOLY NIGHT」が聴きたくなってきた。(??田亮子)

中村哲さん

 アフガニスタンで活動した中村哲医師の対談集がこのほど出版された。本誌2003年3月14日号で掲載した池澤夏樹さんとの対談「アフガニスタン、そしてイラク 殺す理由は何もない」も収録されている。担当は私だった。帰国中の中村さんは講演で全国を飛び回っていて、どこか地方から福岡に戻る途中に羽田空港で時間をとってもらった記憶がある。今号で佐々木亮さんも書いているように、米軍侵攻後のアフガニスタンの状況をするどく見抜いていた。あらためて中村さんの言葉を読むにつけ、凶弾に倒れたことが残念でならない。

 今号から連載「リトルてんちゃん」がはじまる。イシズマサシさんは本誌01年6月1日号から3年ほど写真企画「ねこじた」を連載。冷めた視線で世の中を写したり、かと思えば絵本を出版したり。最新刊は『ぼくはダンサー』(岩崎書店)。そんなイシズさんによる子育てマンガの世界をどうぞ。(吉田亮子)