編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

政権交代後、民主党には政権担当能力がないと批判されてきた

 政権交代後、民主党には政権担当能力がないと批判されてきた。
 全力で足をひっぱってきたのは自民党だ。
 しかし、振り返れば、自民党独裁で利権を分配してきたこと、それなのに連立を組まなければ政権がもたず、最終的には政権が崩壊したこと、を忘れてはいけない。
 いまさら崩壊の”立役者”の安倍晋三元首相が、政局のキーパーソンのように露出することには呆れる。

 この三年は民主党の欠点以上に自民党という古政党の狡猾さばかりが目についた。
 原発事故については沈黙し、消費増税は民主におしつける。
 中韓との外交関係は悪化してもかまわず扇動、放置する。
 民主党に政権担当能力がないようにと、自民党がことごとく足をひっぱってきた行為は政争なのだから仕方ない、という反論もあるかもしれないが、国民無視にもほどがある。
 政府特使を受諾したという森喜朗元首相がまともに見える。
 自民は共通番号制に反対する方向だが(私も反対だが)、これも自由主義という思想から導き出された結論ではないだろう。
(平井康嗣)

これほど同時に国境問題が勃発するのも珍しい

 これほど同時に国境問題が勃発するのも珍しい。
 国交トラブルが起きるほど喜ぶ愉快犯もいるがまったく不毛だ。
 中国では国民はかなり激しいデモをしている。けれども中国政府は日中間に政治的なトラブルを起こしたくないから静観しているようだ。

 韓国はどうか。昨年七月に外交通商省で日本を担当する東北アジア局長が更迭された。
 日韓情報保護協定が閣議決定されたことが原因だ。
 これに国民から政府への批判が噴出したのだ。
 といってもこの協定が韓国国内で公開されなかったのに日本で報じられて国民が知るところとなってしまったことへの怒りだ。
 外交や法の問題ではなく、国内問題だった。

 今回の竹島問題では韓国国民の多勢は静観しており、李明博大統領が過激だ。
 日韓関係など配慮もせず大統領選を意識して目立とうとしたのだろう。
 本質は内向きなのである。

 消費増税という国内(財務省的?個人的?)問題に内弁慶の首相が執着している間に、日本国内やアジアのバランスは崩れ始めている。不穏である。

(平井康嗣)

今週号は昨年に続き原発と原爆の特集となった

 今週号は昨年に続き原発と原爆の特集となった。
 原発震災以後、広島と長崎の原子力爆弾を振り返る上では、原子炉を用いる原発を無視することはもはやできない。

 手塚治虫はアトムとウランをきょうだいにしたが、アトムの宿敵にはプルートゥ(死後の世界を司る神)と名付けている。
 これが半減期二万四〇六五年のプルトニウムの語源になっている。
 高速増殖炉のもんじゅや廃炉になったふげんの名前も、成仏を求め修行する菩薩の名に由来する。

 核武装論者の安倍晋三元首相は、東京電力福島第一原発事故を「わたしたちの知恵と技術で克服していく」と語った(私は「克服」とか「撲滅」という言葉が嫌いだ)。
 しかし科学者は原子力を知恵と技術で克服したくてもできていないと理解していたからこそ、ウランとプルトニウムを使う技術に対し、付け焼き刃的に仏教に依存したのだろう。

 政府が実施した全国の意見聴取会でも原発依存度ゼロを希望する人が七割を占めた。
 知らないことを知っているのはこの人たちだ。
(平井康嗣)

今週号の表紙は、横浜を拠点に音楽活動を続けるクレイジー・ケン・バンドの横山剣!

 今週号の表紙は、横浜を拠点に音楽活動を続けるクレイジー・ケン・バンドの横山剣!
 私は「タイガー&ドラゴン」をカラオケでがなるファンなので、横山さんの登場はすごおく感激。
 最近まで横浜に一〇年ほど住んでいたのだが、横山さんは世間がハマに抱くノスタルジックな幻想を見事に体言している。
 地元を離れず、自分のスタイルをハードコアに貫き続けている。
 それゆえ遅咲きとも言われた。もちろん売れれば有り難いだろう。

 だけど、きっとそんな世間の漂泊する評価などよりも歌づくりで頭がいっぱいなのだろうと思う。そう勝手に想像して共感している次第だ。

『週刊金曜日』も伝えなければならんと思いこみ誌面づくりを続けている。
 今週号のJR東海のリニア新幹線特集もそう。
 品川・大阪間が三〇分早くなることに莫大なカネをかけ、山を破壊し、大事故が一度起きたら終わりという原発級の技術。
 このことをもっと知ってもらおうと、岩波『世界』の清宮編集長と相談し、同誌九月号とのコラボ企画にもなっています。

(平井康嗣)