編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

本意ではない印象

 今週号でれいわ新選組の参議院議員、舩後靖彦さんの初登院について記事化した。この記事とは直接関係はないが、舩後さんについてひとつだけ確認したい。

 8月14日放送のTBSラジオ「荻上チキSession-22」で「この6年間の議員生活に向けての抱負や課題」を問われた際、不用意な発言をしてしまったと、ご自身のフェイスブック(8月20日)で説明をしていることだ。

《「重度障害者には生産性がない」という考えが生まれた原因について(中略)まず戦前から戦後まで行われてきた優生思想の問題やその名残を第一に要因としてあげるべきであったのに、自分が理解していない、「戦後教育の影響」について発言する事になってしまったことで、私の本意ではない印象を与えてしまうことになっ》たことを《心苦しく思って》いるとしている。

 放送を聞き、疑問を抱かれた方もいると思うが、私は納得した。もう一人の議員の木村英子さんは、ご本人に登場いただくため時間調整をしているところだ。

理不尽なカネ

 休み明けの校了日、編集部はざわついている。明日までに校了しなければいけない未入稿の原稿が20頁以上あるから、自ずと緊張する。

 夕方4時、やっと手が空き、大机でひとり昼食。弁当を広げて新聞に目を通す。沖縄振興一括交付金が3年連続で減額されたため、県内のインフラ整備など大幅な遅れが生じているという(『琉球新報』8月17日付)。その影響で、県が主体となる橋梁等老朽化対策の進捗率は58%と低迷。「えっ」と驚く。父の新盆のために帰った山梨で見た、中部横断自動車道に関する記事を思い出したからだ。

「県の強い働きかけで7月1日、総務省はそれまでの(県負担の)164億円を1億円へ減額すると発表した」(『山梨新報』8月16日付)。この2月に就任した長崎幸太郎知事(自民党)の選挙公約の一つだったようだ。トンネルと橋梁がたくさんあると交付税を割り増す制度も創設されたとある。

 8月は各省庁が予算を要求する時期だ。選挙もあったし、理不尽なカネの使われ方に目をこらしたい。

けっして忘れまい

 きょうは8月6日。広島に原爆が投下された74年前のこの朝を思い、静かに手を合わせる。ちりちりと太陽は照りつけ、気温はぐんぐんあがる。今日も東京は暑い1日になりそうだ。

 この1週間、敗戦特集の追い込みのなか、大きな動きがつづいた。8月1日、臨時国会が開会。2日、日韓関係が悪化する中で、韓国のホワイト国除外を閣議決定。3日、始まったばかりのあいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」が展示中止に。

「表現の~」については、今週号で経過を報告しているが、次号できちんとした検証を予定している。何よりも、テロ予告という卑劣な手段で美術展を中止させたその行為と、その呼び水になった河村たかし名古屋市長らの憲法21条を蔑ろにした発言に、強く抗議をしたい。

 展示室にあった「表現の不自由をめぐる年表」に《2019・8 あいちトリエンナーレ2019「表現の不自由展・その後」中止事件》の1行が加えられたことを、けっして忘れまい。

改めてほしい

 8月1日の臨時国会でお二人の新人議員を迎えるにあたっての、国会の改修が進む。大型車椅子を使用されている舩後靖彦さんと木村英子さんのことだ。

 この号が出るころは、二人が晴れて初登院されたというニュースが、メディアで流れていることを願う。ここにきて、就労中の重度障がい者にヘルパー派遣が認められないという問題で躓いているからだ。これまでも繰り返し指摘されてきた制度上の矛盾ではないか。これを契機に制度自体を改めてほしい。

 先週の本欄で舩後さんらの応援演説をした海老原宏美さんに言及したが、海老原さんはALSではなく、脊髄性筋萎縮症(SMA)の患者さんだ。お詫びして訂正する。一昨年の本誌記念講演会で最後にスピーチされた、あの方だ。

 海老原さんは最近『わたしが障害者じゃなくなる日』(旬報社)を出された。なんといっても韓国での「サバイバルホームステイ」の話が(前作にも書かれていたが)、破天荒で凄い! ルビつきなので、小学生の姪にプレゼントしようと思う。