編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

戦争関連悪法はもちろんだが、衆参の法務委員会も要注視だ

編集長後記

 自公が地方の顔色をうかがう地方選挙も終わり、今国会ではこれでもかと、「自由」と「平和」を足蹴にする悪法が上がっている。しかし外務官僚などに話を聞くと安倍首相の評判はいい。官僚の顔色をうかがってくれるからだ。国が大借金をしているのにバラまきし、海上保安庁の増員もする。

 さて戦争関連悪法はもちろんだが、衆参の法務委員会も要注視だ。5月12日には刑事法学者らが「取調べの録音・録画制度の導入」「通信傍受の大幅な拡大・手続簡易化」など慎重審議を求める「意見」を表明し、〈現在提案されている刑事訴訟法改正案は、いずれの点でも、刑事司法の抜本的改革に背を向けたいびつなもの〉だと批判をしている。

 マイナンバー改正案も両院内閣委員会で通過するが、法案はまるで工場で大量生産される電化製品扱いだ。右から左に審議という検品をして本会議へと送り出される。国民の意見もさまざまだが、民主主義国家であるならば、首相はもっと国民や歴史に向き合ってほしい。(平井康嗣)

那覇で辺野古新基地建設反対の県民大会が開かれ、3万5000人が集まった

編集長後記

 5月17日に那覇で辺野古新基地建設反対の県民大会が開かれ、当初予定の1万人を超えた3万5000人が集まった。一方、政府は5月15日の沖縄本土復帰の日、米軍を支援するためだとして「戦争法案」を国会に提出した。沖縄の民意は米国とそれに追従する日本政府に侮辱された。

 また先週は5月12日、京都府警らが「マツタケ」不正輸入容疑という「温めていたネタ」で朝鮮総聯議長の二男を逮捕した。不当逮捕か否かは事実を注視したいが、逮捕の目的の一つは拉致問題の行き詰まりを朝鮮の責任に転嫁するためだろう。「拉致」で名を売った安倍首相らが、もっとも頭を抱えているのは被害者の早期帰国を公約している拉致問題と言われる。朝鮮側の責任で棚上げできれば家族会にも申し開きができる。

 他国に責任転嫁をすることで政治目的を実現し国民を切り捨てていく安倍政権は官僚的できわめてずるがしこい。沖縄と家族会は二つの国にどこまで翻弄されるというのか。私にしうる調査と批判はしていく。 (平井康嗣)

5月15日は沖縄の米軍占領からの復帰記念日だ

編集長後記

 今週号の発売日である5月15日は沖縄の米軍占領からの復帰記念日だ(1972年)。しかしこれで沖縄に「戦後」は始まらなかった。治外法権の米軍基地がより集中的に沖縄に置かれるようになったからだ。そしてそれは新基地建設でさらに強化される。そこで5月17日には〈!戦後70年 止めよう辺野古新基地建設! 沖縄県民大会〉 が開かれる予定だ。開催概要には次のような怒りの言葉がある。

〈去る4月28日、沖縄県民屈辱の日に、日米首脳会談において辺野古新基地建設推進を確認した。法治国家、民主主義国家を標榜する日米政府が、またしても「沖縄県民に自治権は認めない」と米軍支配の高等弁務官同様の態度で臨んでいる。辺野古新基地建設を巡るこの19年間において、今まさに正念場である。今新基地建設を止めなければいつ止めるのか。〉

 1952年4月28日は米軍による沖縄占領が決まった日だ。この日にわざわざ日米共同声明を発表した安倍首相や外務省の「悪意」はけっして見過せない。 (平井康嗣)

自衛隊出身の区議候補(現職)の男性が、〈日本を護ります、外国人の生活保護受給を見直し、生活保護の不正受給を防止します〉、と連呼していた

編集長後記

 統一地方選のさなか、駅頭で自衛隊出身の区議候補(現職)の男性が、〈日本を護ります、外国人の生活保護受給を見直し、生活保護の不正受給を防止します〉、と連呼していた。不正受給はもちろんだめだ。しかし日本を護るために外国人や生活保護受給者を対立構造に置く感覚はいかがか。彼の言う「日本」とは日本をより狭くとらえる排外的な主張だ。

 だが今やこの感覚を共有する人は少なくないようだ。2012年に片山さつき参院議員が生活保護問題で盛大に「弱者」攻撃をした効果がじわじわと出ている。統一地方選によって目の前の問題としてそれは可視化され、拡大していると言える。「左翼」はなんでも最後は安倍批判だと乱暴な物言いがあり、無視したいが、この発言者は現状からの逃避かつ責任回避だろう。

 繰り返すが安倍政権になってから人に厳しい排外的な社会へと加速している。ここに大衆が率先して参加していることが私には怖い。政治家は憲法を読み、人を信じる姿、人に優しい姿を率先して見せてほしい。 (平井康嗣)