編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

外国人差別

 10月26日に川崎市長選の投開票があり、現職の福田紀彦氏が4選を決めた。落選した候補者の中には被差別部落を動画でさらしたなどと本誌でも取り上げた川崎市の出版社、示現舎の宮部龍彦代表の名前も。報道によると川崎区桜本で街宣を行ない、在日コリアンへの差別をなくすため市が設置した「ふれあい館」を攻撃。最終日までデマと差別扇動を繰り返し、市民による抗議が続いていたという。

高市早苗首相は所信表明演説で「一部の外国人による違法行為やルールの逸脱に対し、国民の皆様が不安や不公平を感じる状況が生じていることも、また事実」と言った。しかし、いろいろな人が何度も指摘しているが、外国人の数はこの20年で2倍近く増えているものの検挙された人数は3割減っている(犯罪白書)。トップの姿勢が差別を助長させることは米国を見ても明らか。不安を煽り、市民を分断させるような政権は放っておけない。(吉田亮子)

原っぱ

 北海道東部の釧路湿原国立公園周辺でメガソーラーの建設が進み、天然記念物であるタンチョウの餌場が潰されるなどと問題になっている。報道によると大阪の事業者は市に届け出た上で工事を進めていたというが、ここに来て森林法違反など次々と問題が発覚し、工事は一時中断した。

 同じように事業者が所定の手続きを行なった上で、貴重な生態系を破壊しようとしている場所の一つが東京都内にある。大型バスの転回場として潰されようとしている、町田市野津田町にある上の原広場だ。ここはいわゆる原っぱで、子どもが自然の中で安心して遊べる貴重な場所だ。

 市民が約8000筆の反対署名を集めて提出したが、市は手続きを踏んでおり問題ないという。町田市には「子どもにやさしいまち条例」があるが、子どもの声は聴いたのか? 原っぱは里山と里山をつなぎ、人と人をつなぐ役割があることを知ってほしい。

ウトロ・アートフェスティバル

 トランプ米大統領が提案したガザの和平計画について、「中東メディアによると、(第1段階で)合意の一報が流れると、ガザ住民は街頭に繰り出し、音楽に合わせて手拍子するなどして祝った」(共同通信)という。イスラエル軍による攻撃から2年。6万7000人以上におよぶ集団虐殺がひとまず止まる可能性がでたことは歓迎すべきだが、真の和平への道のりは遠い。

 国内では、公明党が「政治とカネの問題に対する基本姿勢に意見の相違」と自民党に連立解消を突きつけた。石破茂首相の「戦後80年見解」には、新総裁はじめ自民党内から中止を求める声が上がっている。自民党はいつか来た道へ戻ろうとしているのか。

 そんな自民党議員にもお薦めなのが、京都で開催される「ウトロ・アートフェスティバル2025」(11月10日まで)。ウトロを題材に在日コリアンの精神とコミュニティの物語に焦点を当て、複数会場で行なわれる。(吉田亮子)

抗がん剤

 がんで闘病していた友人が亡くなった。今夏はいっしょに北海道旅行をたのしんだのに、その後体調が急変。病院ではこれ以上治療することがないと言われ、自宅で訪問診療や介護などを受ける体制を整えていた。しかし、さらに具合が悪くなり、最期は別の病院の緩和病棟に入った。

 手芸が好きだったので作りためていた作品を葬儀の参列者に差し上げようと自宅を整理していたら、大量の薬と治療ノートが出てきた。体調が悪いなかで、抗がん剤治療の詳細を自身で記録していた。結局彼女は、長期間にわたる抗がん剤によって肝臓が限界を迎えてしまっていた。

 そんな彼女を見ていると、抗がん剤治療のあり方に疑問を感じざるを得ない。高市早苗氏が自民党総裁になり、首相になる見通しとなった。夫の介護をしていると報道されているが、医療や介護の現実にどう向き合うのか。期待はできないが、見つめたい。(吉田亮子)

能登

 特集担当の岩本が書いているが、私も金沢までは数年前に訪れたものの震災後は能登半島に行けずにいる。20年以上前、輪島の宿に犬と泊まり、朝市を散策した思い出がある。その旅行で買った、酒を入れると底に書かれた魚が泳ぎ出す輪島塗のぐい呑みは今もお気に入りだ。復興への道は遠いだろうが、また犬と能登を訪ねたいと思う。今回改めて検索してみると、ペット同伴可の宿は能登半島で数軒しかヒットしなかった。

 9月23日、東京・代々木公園で行なわれた「さようなら原発9・23全国集会」(今号のアンテナで報告)でブースを出し販売を行なった。公園だけあって犬も多く、子馬ぐらいの大型犬にも遭遇。うちの犬も看板犬として連れてくればよかったかなぁなどと思いつつ、ほかのブースで小さな布製のジュゴンのストラップを購入した。金曜日に声をかけてくれた読者のみなさま、ガザや参政党のことなど直接共有でき感謝!(吉田亮子)