編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

今週は特別版?! 新旧編集長対談

今週は創刊17周年(なんと!)直前号ということを理由に、旧編集長のキタムラ
と新編集長のヒライが、「金曜日から」で対談をするという暴挙に出ました。そ
のため編集長後記はお休みです。
「金曜日から」(2010/10/29)でアップされている特別版をご覧ください。

「金曜日から」http://www.kinyobi.co.jp/backnum/data/from/data_from_kiji.php?no=1494

政治問題は永田町(の予算委員会)ではなく、地方の現場で起きている。

編集長後記

 政治問題は永田町(の予算委員会)ではなく、地方の現場で起きている。
 沖縄県では一一月二八日に県知事選の投開票がある。沖縄の民意は、新しい米軍基地はいらないということだ。地元では戦後最大の高まりを見せている。自民党ら基地推進派がかつぎ上げた仲井眞弘多県知事(沖縄電力元社長)でさえ、県外移設を明言した。
 山口県では中国電力と経済産業省が原発新設のため瀬戸内海を埋め立てようとしており、地元民は緊迫している。広河隆一さんの『DAYS JAPAN』と協力し、小誌も反対声明を出した。
 愛知県では生物多様性条約第一〇回締約国会議(COP10)が開かれている。この閉会を地元の大企業、トヨタ自動車は息を潜めて待っているらしい。同社は県内の里山を切り開いて巨大なテストコースを建設する予定。COP10終了まで建設に着手しないというのがもっぱらの噂だ。
 基地や原発は経済生活のために自然や暮らしや絆を破壊する。政治は何を目指しているのだろうか。 (平井康嗣)

高校は一刻も早く卒業したかった。

編集長後記

 高校は一刻も早く卒業したかった。千葉県にあった放任主義の進学校では、受験勉学に精を出す特別クラスの生徒がいた。どこで目的意識を植え付けられたのか自分には不思議だった。父は高校中退集団就職の町工場経営者。勉強エリートの歩む道など想像もしなかった。ただ、私のような目的が希薄な生徒でも、ひきこもることなど考えず、一応毎日学校には顔を出した。麻雀や花札、ビリヤードなどの勉強に三年間は費やされた。一方で気に入った授業は聴いた。実家が寺だという坊主頭の教師には憲法前文の暗記を強制された。これは後々役に立った。マイケル・サンデルではないが、私はリベラリストの側面がある。日本国憲法の影響は大きい。大学に進むと、高校時代の反動か、法律や経済の勉強を始め、長めの学生生活を送った。就職活動は当然のように関心がなかったが、今では来年はどうなるかわからない雑誌づくりを楽しんでいる。不毛に見える高校時代の悪友は、馬鹿馬鹿しさも共有できるオトナの友になっている。(平井康嗣)

読者の皆様こんにちは。

編集長後記

 読者の皆様こんにちは。一〇月一日より編集長になりました平井康嗣と申します。編集部に入って一三年。『週刊金曜日』が創刊されて一七年ですから、この週刊誌の成長の大部分を現場で見続けてきたことになります。そもそも一三年前、住んでいた横浜市の伊勢佐木町のアーケード街にある有隣堂という書店でこの雑誌を初めて手にとりました。読者からの投書がたくさん載っている一方、言いたいことを言うために企業広告は載せない、弱者に目を向けようとする姿勢にしびれました。何気なく奥付を見るとそんな雑誌が編集記者を募集しており、司法浪人という名の無職者だった私は、気づけば履歴書を送っていました。入社後は、このなんともユニークな週刊誌の存在意義を考えながら、記事を出してきました。今、政治や経済は停滞し続けていますが、雑誌や書店などメディアをめぐる状況や人々の暮らしは創刊時にはまったく予想していない情況下にあります。初心を忘れず、仲間と共に荒波上等で乗り越えて行く所存です。 (平井康嗣)

今号で編集長を卒業します。ありがとうございました。

 目的地に向かい百メートル歩いたら、立ち止まって振り返る。不思議な感覚だ。いま確かに自分で辿ってきた。でも、そこはまるで別世界のようにも見える。また百メートル歩き立ち止まり振り返る。別世界と感じた時点がすでに別世界になっている。意識を戻して前を向くと、今度はそこにも別世界が生じている。

 一本の道をひたすら前を向いて歩いて行かなくてはだめだと、子どものころ、たくさんの大人に教わった。でも人生はジグザグであり、過去を呆然と振り返ることがあり、エッシャーのだまし絵に入り込んでしまうことがあり、とても一筋縄のきれいごとではすまない。自分が大人になり初めて、そのことを実感した。
 
 本誌編集長になり6年9ヶ月。暴走したり、カイコのように丸まって反省したり、ぐっと堪えたり、快哉を叫んだりと、人生並みにめまぐるしい日々を送ってきた。ただ一点、就任時の誓い、「すべての人の人権と尊厳が守られる社会を目指して」の姿勢だけは持ち続けた。

 それに免じ、至らなかった点はご容赦ください。今号で編集長卒業です。これまでの数々の励まし、心のこもった叱咤をありがとうございました。新編集長は、若く、バイタリティーにあふれた正義漢です。必ず、『週刊金曜日』をさらに充実した誌面に変えます。ご期待ください。

 私は発行人として『週刊金曜日』のために身を粉にする覚悟です。これからもお付き合いをよろしくお願いいたします。(北村肇)