編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

小中高生の自殺

 2025年の小中高生の自殺者数(暫定値)が532人で、2年連続で最多だという。全体では前年より減って初めて2万人を下回り、しかも子どもの人口は減っているのに。19歳以下の自殺の動機を見ると「学校問題」が最も多い。今年に入ってからは、中高生による暴行動画がSNSで立て続けに拡散されていた。

 こども家庭庁は増え続ける自殺者に対してAI(人工知能)を使い、ネット検索履歴などから自殺リスクが高い子どもを発見する仕組みを検討するという。それ、方向が違うでしょとツッコミを入れたくなる。そんなことを考えながら各党の公約を眺めている。

 今号の「きんようアンテナ」でも触れているが、東京都町田市では市長選と市議選が2月15日に行なわれる。5期20年務めた現職市長が退任を表明し、今後の市政を決める大切な選挙だけに、衆院選の1週間後にどれほどの人が投票に行くだろうかと気を揉んでいる。(吉田亮子)

託せる?

 高市早苗首相は1月19日の会見で、内閣が取り組み始めた「全く新しい経済・財政政策」「国の根幹に関わる重要政策の大転換」に触れ、「高市早苗に、国家経営を託していただけるのか。国民の皆様に直接、御判断を頂きたい」と解散理由を語った。

「皆様の支持なくして、力強い外交・安全保障を展開していくこともできません」と言うように、大転換の最たるものが安保関連三文書を前倒しで改定することだろう。本誌2022年12月16日号と23年1月13日号でも「安保大転換」を特集した。案の定、25日付『朝日新聞』1面に、有事に自衛隊が長期間戦い続けるためとして「弾薬工場の国有化検討」の見出し。戦争回避の使命感を忘れた政治家に国家を託せられるわけがない。

 それにしても「安心して家庭を持ち、夢を持って働ける国へ」と、社会のあり方を個人ではなく家族単位で語られているようでひっかかる。(吉田亮子)

選挙への怒り

 虐待や貧困、障害などさまざまな問題を抱える女性への支援を行なう団体の責任者は「私たちのところに来る相談者のほとんどは、財布の中身が500円未満。200円という人もいた」と話す。外国籍はもちろん、子どももいっしょの場合や、最近は若い人も増えているという。

 話を聞きながら、物価高対策より選挙を選んだ高市早苗首相に怒りがこみあげる。おまけに大阪維新の会の出直しダブル選挙も! どれだけカネがかかると思ってるのか。さすがに解散は抜き打ちでアンフェア、解散権そのものが違憲ではないかなどの批判、理由についての報道も多い。

 なかでも合点がいくのは、日本の統一教会が韓国の統一教会宛てに出した「TM(True Mother)特別報告」について。自民党議員290人を応援したとの記載があるとか、高市首相の名前が32回出てくるとか。国会での追及を避けたいのが本音ではないだろうか。(吉田亮子)

いつの時代?

 特集の山本蓮さんの原稿、冒頭の文章を読んで驚いた。いったいいつの時代のことかと思うが、今を生きる20代女性の声だ。ネットを検索すると出てくる出てくる。年末年始に夫の実家に帰省して、数日かけて大掃除→買い出し→お節の仕込み→年越しそばと天ぷら作り。その間、男性は宴会! ある地方では、女性は「年末年始は飯炊きババア」と自虐的だとか。男性は「酒持ってこい。つまみ持ってこい」で、もう帰省したくないと。考えてみれば私は彼女たちの親世代、「家制度」は過去のものと思い生きてきた。これは、反・家制度のバックラッシュなのだろうか。

 今年も新年早々、米トランプ政権によるベネズエラへの大規模攻撃があり、その後島根県東部を震源とする最大震度5強の地震があった。被害に遭われた方にお見舞い申しあげたい。一昨年は能登半島地震、そして思い出すのは1月17日の阪神・淡路大震災。31年を迎える。(吉田亮子)

遺品整理

 遺品整理の業者と話をする機会があった。12月22日で最終回を迎えたテレビドラマ「終幕のロンド」の主人公も遺品整理人の設定。さまざまな思いを抱える遺族に対し、理不尽なことがあっても「私たちは故人の思いを伝える責任がある」と寄り添おうとする姿が胸を打つ。そんな話をしていたら、あんなもんじゃない、ドラマはきれいすぎ、今日は天井までごみがあふれていた現場だった、という。

 亡くなった友人の家は片づいていたがモノが多い。とくに手芸用品があちこちから出てくる。ポーチや手袋などをつくってもらったが、プロ並みの作品の後ろには使わなかった材料がたくさんあるということ。仕事ってそういうもんだよね、としんみりしていたら、私が10代のころの写真が出てきてギャー! なつかしさに手が止まるが、片づけの期限が迫る。ともあれ、この1年の本誌を支えてくれた読者のみなさまに感謝申し上げたい。(吉田亮子)

ガザ

  がれきの中に埋もれるように置かれた赤ちゃんの人形。小さな身体に巻かれた布は白と黒で配色されたパレスチナの伝統的スカーフ、クーフィーヤ。これは2023年のクリスマス、ヨルダン川西岸のキリスト生誕の地とされるベツレヘムの教会でキリスト降誕場面を表現した展示だ。

 ムンター・アイザック(訳によってはムンテル・イサクもあり)牧師は「もしイエスが今日生まれたとしたら、ガザのがれきの下で生まれるだろう」、そう言ってジェノサイドに抗議し、この年も次の年もこの教会はクリスマスを祝うことを中止したという。牧師は、イスラエルはパレスチナが神から与えられた「約束の地」という聖書の時代をいつまで生きるのかと憤る。

 イスラエルによる攻撃は今も続いている。ガザ保健省は11月、23年10月以降の死者数が7万人を超えたと発表。ユニセフによると、停戦発効後も67人の子どもの命が奪われている。(吉田亮子)

小室等さん

 小室等さんの「なまくらのれん」が今号で最終回となった。暖簾をくぐるイラストレーションとともに和田誠さんから引き継いだ連載だった。

 1回目は東日本大震災から2年をたたずして人々の「認識が希薄」だと怒りつつ、小出裕章さんと佐高信さんが対談本『原発と日本人』を出したことや、小出さんが震災後から出演していたラジオ番組が突然打ち切りになってしまったものの新番組が立ち上げられたことなどが綴られる。

 そう、小室さんはいつだって憤っている。だからチェルノブイリ(チョルノービリ)原発事故や能登半島地震などなど、被災地に赴いては人を励まし、情報発信せずにいられないのだろう。13年分の心からの感謝を申しあげたい。

 なお、中山千夏さんの「はまぐりのねごと」も今号で最終回。こちらは新連載を準備中なのでおたのしみに。そろそろ、小室さんが歌う「O HOLY NIGHT」が聴きたくなってきた。(??田亮子)

中村哲さん

 アフガニスタンで活動した中村哲医師の対談集がこのほど出版された。本誌2003年3月14日号で掲載した池澤夏樹さんとの対談「アフガニスタン、そしてイラク 殺す理由は何もない」も収録されている。担当は私だった。帰国中の中村さんは講演で全国を飛び回っていて、どこか地方から福岡に戻る途中に羽田空港で時間をとってもらった記憶がある。今号で佐々木亮さんも書いているように、米軍侵攻後のアフガニスタンの状況をするどく見抜いていた。あらためて中村さんの言葉を読むにつけ、凶弾に倒れたことが残念でならない。

 今号から連載「リトルてんちゃん」がはじまる。イシズマサシさんは本誌01年6月1日号から3年ほど写真企画「ねこじた」を連載。冷めた視線で世の中を写したり、かと思えば絵本を出版したり。最新刊は『ぼくはダンサー』(岩崎書店)。そんなイシズさんによる子育てマンガの世界をどうぞ。(吉田亮子)

チェルノブイリ

「チェルノブイリ子ども基金」から来年の「40周年救援カレンダー」が届いた。もう、そんな季節かと驚く。1986年のチェルノブイリ(チョルノービリ)原発事故で被災したウクライナとべラルーシの子どもたちへの支援を91年から続ける団体で、甲状腺手術後の子どもたちの保養プロジェクトなどを行なってきた。

 2022年2月にロシアによるウクライナ侵攻がはじまり、原発事故への関心が薄らいでいるのは事実だろう。しかし一方で戦争によるあらたな原発事故の脅威が高まっている。日本では柏崎刈羽原発の再稼働が決まりそうだ。子どもたちの未来を守るために「チェルノブイリ」を忘れてはならないと思う。

 収益はチェルノブイリと福島の原発事故で被災した子どもたちの救援にあてられる。1000円。申し込みはチェルノブイリ子ども基金(電話/FAX03・6767・8808、cherno1986@jcom.zaq.ne.jp)まで。(吉田亮子)

マイナ保険証

「12月2日以降、医療機関等における資格確認については従来の健康保険証を利用することができなくなります」「マイナ保険証利用登録がお済みでない方を対象に、資格確認書を交付いたします」

 こんな文言とともに届いた資格確認書。出版健保からの封筒の中の厚紙に、確認書が張り付いていた。?がすとコーティングされているが、ペラペラだ。今まではプラスチックのカードだったので簡単に折れることはなかったが、これは取り扱い注意。大事なものなのにふざけてる! と憤慨して帰宅したら、つれあいのは薄い紙に印刷されただけで自分で切り抜くタイプ。すぐに使えなくなりそうだと、つれあいも困り顔だった。

 調べると、国民健康保険と後期高齢者医療保険は期限切れの保険証でも来年3月までは使えるとか、スマホ保険証は対応したカードリーダーがなければ使えないとか、いろいろ複雑。くわしくは、誌面であらためて。(吉田亮子)