編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

渋沢栄一と朝鮮

 2024年から1万円札の顔になる渋沢栄一が、実は約120年前に朝鮮半島で流通した第一銀行「1円札」の顔にも使用されていたのはなぜか。背景には、朝鮮を経済的に従属化させるという目的があった。NHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公でもあることから、世はちょっとした渋沢ブームである。だが、彼が朝鮮植民地支配においてどのような役割を果たしたのかについて関心を持つ人は少ないのではないか。前号から短期集中連載「一橋大生が迫る 渋沢栄一と朝鮮侵略」が始まった。計4回を予定している。

 この連載、執筆者は全員一橋大学の現役大学生と院生だ。朝鮮近現代史を研究する加藤圭木准教授のゼミとのコラボ企画だ。ゴールデンウイークが始まる直前に企画の討議をし、何回かやりとりをしながら、掲載にこぎつけた。学業のかたわら、よく書いてくれた。彼らが書いた本『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』(大月書店)も好評だ。

 今後も日本各地の大学ゼミとのコラボ企画を考えていきたい。

野党共闘の展望

 野党共闘は失敗だった――先の衆議院議員選挙で立憲民主党が議席を減らしたことなどをめぐって、このような分析が見られる。しかし、そう即断してしまっていいのだろうか。少なくとも新潟県では、6選挙区中4選挙区で野党候補が勝利した。これで新潟では衆院選2連勝、参院選も2連勝だ。つまり、国政選挙で野党共闘は4連勝中というわけだ。なぜ新潟では成功したのか。中心となった市民連合@新潟の共同代表、佐々木寛・新潟国際情報大学教授に緊急インタビューするなど、今週号では「野党共闘の展望」について特集した。

 来年の参議院議員選挙で野党が躍進するにはいろいろと課題もあるだろう。朝日新聞社が11月6、7日に実施した世論調査(同紙11月8日付掲載)によると、自民党の過半数超えの理由について「野党に期待できないから」との答えが65%にのぼった。

 政治とは人々に希望を与えるものでなければならないと思う。「政権を任せたい」と思わせるビジョンを打ち出すことが重要だ。

新編集長就任あいさつ

 事実無根の情報で野党、政権に批判的なメディアを誹謗中傷し、自民党を熱心に擁護するツイッターが横行しています。しかも、そのツイッターアカウントと自民党との深い関係が急浮上しています。ネット上でこんなひどいことが起きています。今号の特集では「Dappi」の闇に迫りました。今後もこの問題を追及していくべきだと考えています。

 新編集長の文聖姫です。日本で生まれ育った在日コリアンです。『朝鮮新報』で20年記者をしていましたが、拉致問題をきっかけに退職しました。その後、東京大学大学院博士の学位を取得しました。研究活動の最中、縁あって本誌で働くことになりました。2017年からアルバイトを始め、翌18年に社員公募に応募し、同年5月に社員として採用されました。19年6月からは小林和子前編集長のもと、副編集長を務めてきました。今後とも読者のみなさまに愛される『週刊金曜日』を目指します。どうぞよろしくお願いします。

お礼

 今回の総選挙、改憲勢力の伸長は予想以上でした。来夏に予定されている参院選に向けて野党共闘の足がかりはできたのか――今週号に引き続いて来週号も分析記事を載せます。

 そんななかでも香川1区で立憲の小川淳也氏が平井卓也前デジタル相を破ったこと、議席奪還はなりませんでしたが東京12区、共産党の池内沙織氏の善戦、沖縄2区、オール沖縄の新垣邦男氏の勝利、そして山本太郎氏の国政復帰には勇気づけられました。希望をつなぎましょう。

 本社でも10月29日、編集長公選制を初導入し、次期編集長を決める選挙が実施されました。信任投票となりましたが、文聖姫が多くの支持を得て当選しました。次号からは新編集長が担当します。

 小林は今後、一部員として誌面作りに力を尽くすつもりです。この場を借りてこれまでのお力添えやご協力にお礼申し上げます。ありがとうございました。これからも本誌に変わらぬご支援をよろしくお願いいたします。