編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

春日井読者会

 11月23日、愛知・春日井読者会に行ってきました。当日は12人の方が参加し、約3時間にわたって、熱を帯びた議論が交わされました。私が参加したということもあってか、本誌への注文も多くいただきました。

 印象的だったのは11月3日号に掲載した鈴木宗男氏のインタビューへの反応です。このインタビューに関しては、掲載直後にお叱りのメールも少なからずありましたので、私も気になるところでした。でも、「非難されながらもロシアを訪問した鈴木氏へのインタビューを待っていた」という御意見を述べてくれるなど、おおむね好評でした。もちろん、11月17日号の「金曜日から」の本田雅和の文章に「同感」だという方もいました。その他、ここには書き切れないほどの多くのことを得ました。これも直接読者と会って話ができたからだと思います。

 これからもできるだけ多くの読者会にお邪魔して、みなさんの声を直接お聞きする機会を設けていきたいと思います。(文聖姫)

ガザの子どもたち

 この子たちは死ぬために生まれてきたのか。ガザ地区最大規模のシファ病院で、保育器から出された未熟児たちの写真を見て胸が張り裂けそうだ。イスラエル軍は同病院への発電用燃料提供を「ハマスに拒否された」と主張しているが、提供を申し出た燃料は300リットル。同病院のムニール・ブルシュ医師は『朝日新聞』の電話取材に、「スタッフや患者、その家族ら数千人がいる病院では、全然足りない」と突き返すと、「ハマスが拒否」と主張したという(『朝日新聞』11月15日付)。結局、戦争の最大の被害者は弱き者たちなのだ。

 戦争を止めるには、いやそもそも戦争を起こさないようにするためにはどうすればいいのか。そのヒントを与えてくれる絵本を最近読んだ。エッセイストの木村恵子さんが文を書き、イラストレーターのbiibiさんが絵を描いた『よかったね、よかったね。』(教友社)。「『戦争はやめて話し合おう』というのが結論」と木村さんは言う。木村さんの孫、そふぃあさんによる英語訳も付いている。(文聖姫)

プラットフォーム

 先日、とあるオンライン起業セミナーに参加した。『週刊金曜日』を持続させるためのヒントがないかを探るためだった。いろいろと勉強になったが、なかでも「お客様の悩みを解決するのがビジネス」という講師の言葉が印象に残った。これを本誌にあてはめるなら、読者が知りたい情報や知識を的確に伝える雑誌を提供するということになろうか。モニターやアンケートをはじめとする読者の声を参考に、どんなコンテンツを提供すればいいか、編集部内でも日々検討を続けている。

 今週号では、「記者たちはなぜ会社を辞めるのか」を特集した。近年、大手新聞や地方紙などマスコミを辞める記者が増えているのだという。優秀な記者たちが志半ばで去っていくのは残念だ。そこで考えた。『週刊金曜日』を、そういった記者たちが書く場としての“プラットフォーム”にしてはどうかと。彼・彼女らが書きたいこと、書けることを書く場所を提供する。そして、読者も喜ぶ。そんな場が提供できないか。そんなことを考えている。(文聖姫)

創刊30周年記念大集会来場&視聴御礼

11月2日に東京・神保町の教育会館で開催された『週刊金曜日』創刊30周年記念大集会には、多くの方にお越しいただきました。ありがとうございました。また、今回は初めてネットによる配信も行ない、全国で百数十人の方が視聴してくださいました。合わせると460人余りの方が参加してくださったことになります。

 会場では、読者会の方々にも大勢お会いしましたし、声をかけた在日コリアンの友人たちも駆けつけてくれました。とりあえず無事終わって、ホッとしています。

 しかし、未来に向けて課題も突きつけられた場でもありました。20代の韓国人留学生は私にこんな感想をメールで送ってきました。「若い記者の斬新でダイナミックなルポルタージュやフォトエッセイも見てみたい。若い読者にもっと近づくためには、もっと若い感覚が必要だ」。

 これからの30年を見据えるために若い人たちにどうアプローチしていくか。出版不況の中ではありますが、考えたいと思います。(文聖姫)

支えられて

 30年前の1993年11月5日、『週刊金曜日』創刊号が刊行されました。その記念号となる本号から、編集部員の本田雅和による連載「『本多勝一のベトナム』を行く」が始まります。本多さんは発刊当初から今まで本誌の編集委員を務めています。私も本多さんの『中国の旅』を読んでジャーナリストを志しました。本誌購読者にも本多さんファンは大勢いらっしゃると思います。渾身のルポです。どうぞお楽しみに。

 さて、この連載は今年4月からスタートした「サポーターズ制度」のおかげで実現しました。この場を借りて、改めてお礼申し上げます。今後もみなさんのご支援は、本誌のコンテンツ強化に生かしていきたいと考えております。

 出版不況、活字離れが進む中でも、『週刊金曜日』のような、ある意味では“小さな雑誌”がなぜ存続できるのか。それはひとえに読者のみなさんがいろんな形で支えてくださっているからです。そのことを肝に銘じ、本誌をいっそう充実したものにしていきたいと思います。(文聖姫)

読者モニター制度

 本誌の読者モニター1期目がスタートしてから10月末で5カ月が経ちます。今期はあと1カ月を残すのみとなりました。モニターの皆様には、毎週毎週真摯なコメントをお寄せいただき、大変ありがたく思っております。

 モニター結果については、総合的な評価、その号で最も評価の高かった企画の順位、面白かった連載の順位、今後取り上げてほしいテーマなどにわけて整理し、スタッフと共有しております。スタッフも、自分が企画したり、編集を担当しているものが上位にランクされるとうれしいようです。執筆者にモニター結果を知らせるスタッフもいるほどです。

 先週号の本欄でも書きましたが、『週刊金曜日』の特徴の一つに読者との距離の近さがあると感じています。そんな読者に支えられて11月5日で創刊30周年を迎える本誌。2日には大集会も予定しています。みなさんにお会いできるのが待ち遠しい。

 そして、モニターは12月から2期目がスタート。ご応募お待ちしてます。(文聖姫)

創刊30年に思う

 10月7~10日、本誌創刊30周年協賛イベントとして、本誌編集委員・崔善愛さんのピアノコンサートが北海道の4カ所で開催された。北海道の五つの読者会が主催し、準備してくださった。私も連休を利用して7日の札幌、8日の小樽、9日の室蘭に同行した。室蘭の会場では、「本当のことしか書いていない週刊金曜日が頼りです」と声をかけられた。うれしかった。室蘭の会場には、釧路や函館から駆けつけてくれた人もいた。

 10日は釧路だったが、仕事の都合で、残念ながら参加できなかった。でも4カ所とも主催者の予想を上回る満員御礼。準備した方々もとても喜んでくれた。本誌も販売したが、50冊すべてが売れた。9月29日号の本欄でも書いたことだが、本誌と読者の距離の近さを改めて実感した。

 読者に支えられて間もなく創刊30年を迎える。だが、昨今、週刊誌をはじめ活字メディアを取り巻く状況は厳しい。どうすればこの難局を乗り越え、本誌を持続可能にすることができるか。日々考え続けている。(文聖姫)

彼女たちが路上に立つわけ

 1週間ほど前の夜、東京・新宿の大久保公園界隈を歩いて驚いた。路上に多数の若い女性たちが一定の距離を置いて立ち、それを上回る大勢の男性たちが集まっていた。話では聞いていたが、実際に自分の目で見る異様な光景にショックを受けた。

 大久保公園周辺では、売春目的で客待ちをする女性が増えているという。『朝日新聞』(多摩版)2023年10月4日付によると、警視庁は1~9月、客待ちの20~46歳の女性計80人を売春防止法違反容疑で摘発した。昨年1年間の51人を大きく上回った数字だ。警視庁保安課は9月に入り、同法違反容疑で35人の女性を現行犯逮捕した。このうち約7割が20代だという(同紙)。問題は、なぜ売春をする女性が増えているかということだ。前述の『朝日新聞』によれば、客待ちの理由は、ホストクラブなどに通うためが約4割。「経済的困窮」を挙げた女性が約1割だった。

 彼女たちが路上に立つ背景には何があるのか、それをきちんと追わなければならないと思った。(文聖姫)

3カ月しか? 3カ月も?

 早いものでもう10月。今年も残すところあと3カ月だ。しかし、調子が狂う。例年ならもう長袖、下手すると上着を羽織っても不思議でない時期なのに、まだ半袖を着ているからだ。今年の夏は本当に暑かった。いや、暑いを通り越して、太陽の光が痛いほどだった。ここへ来て、朝晩は涼しくなってきたが、日中は冷房が必要なほどだ。地球はどうなってしまうのか。

 さて、この時期になると、そろそろ1年を振り返って、未達成の目標について考えてみる。その際、もう3カ月しかないと思うか、まだ3カ月あるじゃんと思うかで、気分もずいぶん変わってくる。私は後者の方だ。3カ月もあれば、結構いろんなことができる。いろいろやることは多いが、効率よく仕事をこなす術も覚えた。要は会社の机だけが仕事場ではないと思うことと、隙間の時間を利用すること。実際、この後記も、スマホのメモ機能を利用して電車の中で書いている。塵も積もれば山となる。そしたら、3カ月が4カ月分にも5カ月分にもなる。かな?(文聖姫)

読者との距離

 2018年に週刊金曜日に入って一番驚いたのは、読者との距離の近さでした。会社にかかってくる電話を取ると、この記事が良かったというお褒めの言葉や、この論調はけしからんというご批判などを情熱を込めて話してくださるのです。読者会がある雑誌など、そうあるものではありません。その読者会にもいくつかお邪魔しました。それぞれの読者会に特徴があって、誌面を中心に議論される場合もありますが、現在の日本の状況とか、普段考えていることを話し合ったりと、話題もさまざまです。

 このたび、本誌の創刊30周年に際し、北海道の五つの読者会が本誌編集委員・崔善愛さんのコンサートを企画してくださいました。詳細は9月15日号の裏表紙と「ヒラ社長が行く」をご覧ください。私も連休を利用して参加します。北海道のみなさんにお会いできるのを楽しみにしております。

 そして、11月2日には東京・千代田区の教育会館で大集会があります。こちらもぜひ、いらしてください。(文聖姫)