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消費増税が国会で大詰めを迎えている

 消費増税が国会で大詰めを迎えている。
 所得がなければ消費もできないのだから、「まずは所得からというのが税の大原則」だと、今週号の特集で富山泰一さんが指摘している。
 消費増税論争を筆刀両断にするわかりやすい話だ。

 民主党政権の増税・財政再建路線は野田首相が始まりではない。
 鳩山由紀夫首相、菅直人財務相時代から一貫している。
 動向が注目されている当時の小沢一郎幹事長も同じ穴の狢ではある。
 二〇一〇年一月に本誌は「民主党政権の増税論」を特集しており、政府の諮問機関である政府税調専門家委の神野直彦座長に私は話を聞いた。
 読み返して思ったのは、政権発足当初の子ども手当バッシングが今につながっていたということだ。

 自分が当事者でない場合、他者をとりすぎだとバッシングする社会、だ。
 これは当然高齢者への年金や生活保護受給者への不寛容へと展開されていく。
 このような社会では他者への連帯感など育つ余地もない。
 神野氏は、まずは政府が信頼を取り戻すことからと指摘したが、その通りだ。 (平井康嗣)