編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

独立系出版社の雑誌が1000号を数えるというのは、非常に珍しいことだ

編集長後記

 赤字だろうが誰も面倒をみてくれるわけではない独立系出版社の雑誌が1000号を数えるというのは、非常に珍しいことだと元『話の特集』営業部長Dは言う。月刊誌はなかなか数が及ばないし、そもそも独立系の週刊誌が存在することは困難だ。週刊メディアと言えば、60年代の大森実さんの『東京オブザーバー』にさかのぼってしまうのかもしれないほどだ。

 『週刊金曜日』は今は単行本を出版しているが、それでも総合出版社が実態ではなく、基盤は週刊誌である。権力へのカウンターカルチャー誌をめざし続けた独立系月刊誌の『面白半分』『噂の眞相』や『話の特集』も今や退場している。権力や国家に嬉々としてすり寄ったり、もしくはそれが売れるからと好戦的で差別的ないじめをする反知性的、エセ知性的なメディアや読者がはしゃぐ時代になっている。

 そんな時代だからこそ、立ち止まって考えよう。情報の流れを自ら絶たなければ、自分の頭で考えることはできないはずだ。腹をくくって知性の復権を掲げたい。 (平井康嗣)