編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

今週号には、徐裕行氏のインタビューを掲載している。

編集長後記

 今週号には、徐裕行氏のインタビューを掲載している。彼はかつての村井秀夫・オウム真理教(当時)幹部を東京・青山の総本部前で刺殺した人物だ。この刺殺事件は動機と背景をめぐってさまざまな憶測を呼んだ。そもそもオウムには謎が多い。村井氏の死により結果としてオウム関連事件の被害者遺族が望んでいる教団の真相解明にブラックボックスができてしまった。その徐氏は意外にも出所して以来、メディアに口を開くのは初めてだった。本人はどう思われようが構わないという様子。だが投げやりではなく紳士的であり、言葉も丁寧に選んで喋る。ただ刺殺に対する悔恨のそぶりもない。そのことに驚いた。テロリスト――という言葉が頭に浮かぶ。当時のオウムに対する世間の怒りや憎しみ。それを背中に受けた義憤だけで牛刀を握れるのか。彼が墓場まで持っていこうとしているものは間違いなく存在する。だがそれは墓場まで行くだろう。徐氏はロバート・B・パーカーの探偵スペンサーシリーズがもっとも好きな本だという。(平井康嗣)