編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

朝鮮戦争休戦70年

 亡くなった母から生前、こんな話を聞いたことがある。1945年8月15日、7歳の母は自分の母、つまり私の祖母に連れられて近所の家に「玉音放送」を聞きに行った。放送が終わると、祖母は母の手を握って、早足で自宅に戻った。そして、家に入り、扉を閉めた途端、彼女は小躍りしながら叫んだ。「ヘバンテッタ(解放された)!」と。

 日本人にとって敗戦の日は、朝鮮民族にとっては日本の植民地支配から解放された日だ。解放の喜びも束の間、米ソの軍隊がそれぞれ朝鮮半島の南部と北部を占領下に置く。48年には分断国家が生まれ、50年に朝鮮戦争が勃発。

 今年は朝鮮戦争休戦から70年だが、撃ち方止めの状態は続く。この日を「戦勝記念日」と位置づける北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)には、休戦70年を祝うため、ロシアのショイグ国防相、中国共産党の李鴻忠政治局員が訪朝。金正恩総書記は両者と相次ぎ面談した。ウクライナ戦争をめぐって、中ロ北朝鮮の「団結」を誇示する狙いがあるのか。今後に注目だ。(文聖姫)