編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

誰に向けての「安倍談話」だったのか

 「安倍談話」が発表され、予想以上に世論は批判的だった。評価したメディアはNHKの”安倍番”、岩田明子記者の解説や『産経新聞』くらいだろうか。安倍談話は「侵略」「植民地」「反省」「おわび」という村山談話、小泉談話の最大公約数であるキーワードをとってつけたように盛り込んだ。事前にメディアなどがキーワードの有無にこだわったことへの答えなのだろうが、スピーチライターを始めとする首相サイドが談話を「可」と考えていたならばお粗末すぎる。もしかしたら最後にはやけくそで談話をつくったのかとまで思う代物だが、それはそれで責任放棄だし、本気であるならばその「知性」がおそろしい。安倍談話はいろいろな角度から世界に恥をさらした。メディアやSNSが批判することで国際社会とのバランスをとるしかない。
 さて今週の特集は大学問題だが、政権は「日の丸・君が代」を大学に強制しようとしつつ国際化をめざす矛盾に気づいていない。安倍政権のガラパゴス化した「保守」は一貫している。