編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

「強い意志」

「2015年に成立した安保法制は憲法違反」として全国各地で提起された訴訟。これまで地裁、高裁、いずれにおいても憲法判断は回避されてきた。原告7699人、代理人弁護士1685人の安保法制違憲訴訟全国ネットワーク代表の寺井一弘弁護士とともに同訴訟を闘っている伊藤真弁護士は、今週号の特集でとりあげている集会でも、同訴訟の現状を報告されていた。

 伊藤弁護士は集会の中で日本の最高裁判所大ホールに置かれた女神「テミス」像について興味深い指摘をされていた。女神は左手に天秤、右手に剣を持つ。最高裁の女神は(諸外国の女神像と逆で)剣を天秤よりも高く掲げている。これでは「力」が「公平・平等」に勝ることになってしまうのではないか、と。

 最高裁のサイトをみると、剣は「力」ではなく「公平な裁判によって正義を実現するという強い意志」を表すのだという。ならば実際の裁判において、テミス像のように堂々と「強い意志」を、裁判官の方々は示されてはどうだろうか。