編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

人種差別は人殺しの準備である。

編集長後記

 人種差別は人殺しの準備である。在日コリアン、コリアンなどへの人種差別を扇動し続ける在特会らグループへの抗議の声が強まってきているが、当然である。差別は憎悪の感情を駆り立て、手前勝手な敵意を正義へと捏造する。差別相手を対等な人間と見なくてよいことを正当化する。実際に在特会らの示威行動では「殺せ」などの声が出始めている。差別意識がそうとう悪化してきた表れである。

 イラク帰還兵を取材した『冬の兵士』(岩波書店)では、米兵がイラク人を「ハジ」「ターバン頭」と呼び非人間化に努めた証言がある。ナチスにとってのユダヤ人、フツ族にとってのツチ族、米兵にとってのベトナム兵、いずれも敵の非人間化の過程がみつかる。同書での「軍隊は職業ではなく文化です」という証言も恐ろしい。その文化の拡大を進める感性の安倍首相はネット右翼との親和性も高く、警戒する必要がある。が、私たちも「敵」に正義を振りかざすとき、その顔を鏡に映してみなければいけないとあらためて思う。 (平井康嗣)