編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

東日本大震災から二年が経つ。

編集長後記

 東日本大震災から二年が経つ。そこで、いまも日常に戻れない福島県のひとびとの声を特集した。その原稿の中に、原発の責任を感じていないようすの自民党についての描写があった。さもありなんだ。

二〇一一年の東日本大震災後、私は地元の自民党支部集会にもぐりこんだり、選挙演説なども聴いてきたのだが、原発公害に対する後悔や反省の弁をおよそ聞いたことがない。ともかくやりすごそうという姿勢しか見えなかった。そんな輩でも小選挙区制ではあっけなく当選した。また同党は国家主義的な改憲案を掲げるが、憲法調査会などでも条文を読みもしない姿を思い出すばかりだ。TPPについても大声で参加反対を掲げていたにもかかわらず、首相は交渉参加を表明した。

この無責任さへのメディアの批判はほぼ皆無だ。「歴史」ある自民党が与党になったことで安心してしまった日本人も少なくないのではないか。「法」は言葉がつくる力の塊だ。いともたやすく言葉を足蹴にする政治家がそれを弄び続けることは耐え難いのだが。(平井康嗣)