編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

信仰

 昨年の夏に亡くなった、ある高齢の女性を偲んで、キリスト教会で記念会があった。横浜市・寿地区や神奈川県相模原市での路上生活者支援を長く行なっていた人だった。

 記念会に駆けつけた人からは、炊き出しでは誰よりも早く来て準備をしていたこと、介護保険が始まる前から地域の高齢者のために食事の提供を行なっていたことなど、困っている人を見ると放っておけない彼女の姿が語られた。

 活動団体のニュースレターには「対象者が少なくなっても、私たちの活動は変わる②となく、ホームレスの存在がゼロになる世が来ることを願いつつ続けたい」とあった。

 彼女を突き動かしていたのは正義感であり、キリスト教の信仰だったのだろう。先に亡くなったお連れ合いもそうだが、二人とも希望どおりに献体され、亡くなってもなお人のため尽くしている。夫妻は本誌の定期購読者だったことも付け加えておきたい。(吉田亮子)