編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

『竹中平蔵こそ証人喚問を』が売れているそうだ。

編集長後記

 佐高信編集委員の『竹中平蔵こそ証人喚問を』(七つ森書館)が売れているそうだ。

 民主党やそのほかの野党は、郵政民営化や労働者派遣法や格差社会を批判してきたが、なぜそうなったか検証していない。この作業は後ろ向きの仕事ではない。日本の分岐点を明確にして、掛け違えたボタンをはめ直して制度設計すべきだ。その不満が世間には堆積している。

 外資系含め企業が国内で活動しやすくなるよう規制緩和をしてきた。企業や市場に任せればすべてうまく調整されるとする考えだ。森喜朗以降の清和研政権でそれは急速に進み、その頂点が小泉純一郎と竹中平蔵時代だ。それは今の霞ヶ関も変わらない。  

 今週号で特集したTPP(環太平洋戦略経済連携協定)はそのだめ押しである。民主党政権になって米国の年次改革要望書は出なくなった。代わりに出てきたのがTPPだ。国家間共同体はまずは経済からというのはEUの先例だろうが、日本が見ているのが相変わらず米国だけというのはお粗末過ぎる。 (平井康嗣)