編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

時代は変わる

 「世界は動いている」「時代は変わる」ことを実感した。韓国の金淇春(キム・ギチュン)元大統領秘書室長が逮捕されたからだ。朴槿恵(パク・クネ)大統領の友人による国政介入問題に連なり出てきた、“政権に批判的な文化人リスト”の作成に絡んだ職権乱用の容疑だ。

 元室長は、朴正煕(パク・チョンヒ)政権下で維新憲法草案づくりに参画し、その後法務部長官まで務めた人物である。その彼を、娘の朴槿恵大統領は「新維新体制」づくりに重用した。

 金元重(キム・ウォンジュン)千葉商科大学教授は本誌(2015年12月25日号)で彼を「拷問、不法連行、長期拘禁による虚偽自白で多くのスパイでっち上げを指揮してきた」と批判し、そういう人物が大統領に次ぐ位置にあったことを指弾した。元室長は、金教授を含む在日の留学生がスパイ容疑で韓国で一斉に逮捕された1975年の「11・22事件」(再審で無罪判決)の責任者でもあったのだ。

 翻って日本はどうだ。「敗戦」を受け止められず、高度経済成長の成功体験にしがみつく安倍首相が「国創り」を宣言する。時間が止まっていはしまいか。