編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

〈JAPANESE ONLY〉という横断幕が問題になり、レッズが無観客試合という懲罰を受けることになった

編集長後記

 浦和レッズサポーターによる〈JAPANESE ONLY〉という横断幕が問題になり、レッズが無観客試合という懲罰を受けることになった。帰化した元韓国人選手ではなく外国人観戦者に向けた表現という話もあるが、差別的排外的な意味には変わりはない。

 結果としてサポーターは試合を観戦できず、レッズ側は1億円と想定される興行収入を得られない。今回の表現行為は日本国刑法上、犯罪ではない。処分は業界の自治機能によるものだ。サポーターはチームと心情的に一体化しているから効果的なのだろう。

 さて刑罰の目的は「再び罪を犯さないようにする」教育刑と「罪への報復」である応報刑という整理ができる。今回の経済的な懲罰で、差別的な気持ちやヘイトスピーチをなくす教育的効果まで期待するのは難しいのだろう。3月14日付『東京新聞』では豊島区公会堂がヘイトスピーチを繰り返してきた在特会への会場使用許可を出している“問題”が報じられている。表現規制や懲罰だけで人の内心までは変え難い。 (平井康嗣)