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抗議するのは当然である

「平和のための結集」決議を御存知だろうか。1950年11月の国連総会決議377号のことである。
 国際連盟も国際連合も戦争の反省から平和のためにつくられた組織だ。国連憲章では紛争解決のため集団安全保障を用意し、加盟国(原加盟国51カ国)の紛争を防ごうとした。しかし安保理常任理事国の拒否権行使が予想されたため、地域的自衛権とも言える集団的自衛権を盛り込んだ。そこで、日本でも集団的自衛権しかないという議論になる。
 その前にもう少し歴史から学びたい。集団安全保障が安保理によって発動できない場合に総会が勧告を出せるとしたもう一つの手段である前述の決議だ。これは米国が加盟国に多数派工作をして成立した。
 しかし国連加盟国が増えていくと(2011年で193カ国)、多数派工作は効かなくなる。米国は国連離れを進める。平和という美名を冠した仕組みをつくるが、役に立たなくなれば足蹴にする。憲法無視の無法国家から法を強要される矛盾に抗議するのは当然である。