編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

ヒグマ

 この夏もイヌを連れて北海道を旅している。それにしても、ヒグマによる被害が例年になく多い。8月14日には知床半島で、2005年の世界遺産登録後はじめて登山客が襲われた。知床には400〜500頭ほどが生息しているとみられているが、目撃件数は年々増えているという。

 北海道も異常な暑さの影響で、ヒグマが食べる木の実などが不作なのかもしれない。海流の変化によって、マスの遡上が少ないとも言われる。いずれにしても、環境の変化にヒグマたちの行動も変化せざるをえないのだろう。

 北海道の先住民、アイヌの人たちはヒグマを神とした。サケもフクロウもさまざまな生きものを神として崇め、そして感謝して食したという。ヒトの生活圏に入ってしまった野生動物たちを危険なものとだけ見ずに、自然が崩壊していることを私たちに伝える大切な使者として見ることはできないものだろうか。(吉田亮子)