編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

今年の抱負

いま、この原稿を電車の中で書いている。スマホのメモノート機能を利用しているのだ。メモノートに原稿を打ち込み、それをメールで自分のパソコンに送る。電車の中が事務所代わり。長い通勤時間も無駄にしないで済む。

 まだ私が『朝鮮新報』の駆け出し記者だった頃、原稿はすべて手書きだった。原稿用紙に鉛筆で書き、気に入らないと消しゴムで消す。それを何度も繰り返すから、しまいには原稿用紙が破れてしまう。何度原稿用紙を無駄にしたことか。そんな風に書いてデスクに持っていっても、目の前でゴミ箱に捨てられるのがザラだった。記者になって初めて紙面に掲載された原稿は、私が書いた部分はたった3行しか残らなかった。

 それでも続けてこられたのは、記者という仕事が楽しかったからだ。取材過程で人と出会い、さまざまな出来事に遭遇するたび、ワクワクした。三十数年経ったいまでも、そのワクワク感は失わずにいきたい。読者がワクワクしてくれる誌面のため、今年も頑張ります。(文聖姫)