編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

お世話になった人たちの逝去

編集長後記

 ここのところお世話になった人たちがたてつづけに亡くなってしまった。先々週、小誌「経済私考」の執筆者、谷村智康さんが急死された。10年以上前、仙台から上京したおりに編集部に訪問されたことが縁だ。博報堂でも働いていたこともあるが小誌の読者でもあった。マーケティングや広告の裏表を熟知していて、私の稚拙な質問にいつも快く応じてくれていた。

 8月に亡くなったテレビディレクターの岩路さんは、冤罪事件を真摯に取材していた。私の知る限り、取材にもとづき、林眞須美死刑囚が冤罪ではないかと指摘した最初の記者だ。岩路さんにはかつて、取材で行きづまっていた作家の黒木昭雄さんを紹介して相談に乗ってもらったこともあるが、それからまもなく黒木さんは自殺してしまった。

 土井たか子さんは護憲団体「憲法行脚の会」の看板の一人だった。谷村さんも行脚の会を手伝っていたこともあるが「これでは日曜集会だ」と率直なダメだしもしていた。みな前向きな気持ちのよい人たちだった。合掌。(平井康嗣)