編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

原理原則を理解する

 今週号では最近やたらと注目を集めている「ふるさと納税」を特集しました。もちろんひねくれものの『週刊金曜日』でありますから、テレビの情報番組などで扱うようなふるさと納税を賢く利用して「いかに得するか」(「家計にとってお金が節約できることは幸せである」)という経済的イデオロギーにもとづく企画ではありません。

 特集をして調べた結果、ふるさと納税がいかに本来の税の趣旨からはずれているか、地方創生とちぐはぐであるか、さらに「寄附」や「ふるさと」の意味を相対化しているのかという議論や視点が浮かびあがってきました。

 なぜ税が必要なのか、なぜ平和が大切なのかなど、原理原則を理解することはいまこそ大切な時期です。しかし原理原則の前には常に「現実は違う」と例外的な理由を、ときには本気で、ときにはもっともらしくふりかざしてくる人たちがいます。

 その最たるものがふるさと納税にも潜む「富が個人の幸せを高める」というイデオロギーではないでしょうか。