編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

愚か者の街

 日本でもお馴染みのアメコミヒーロー、ダークナイトことバットマンが犯罪者と闘う架空の街はゴッサム・シティという。19世紀にマフィアが跋扈し犯罪都市となったニューヨークが「ゴッサム・シティ」と名付けられたことに由来するなど諸説ある。

 しかし、ニューヨークの愛称もそもそもはイングランドに実在するゴッサムという村に由来する。村はその昔話から「愚か者の街」と呼ばれたという。

 米国にはバットマン前史を描いた「ゴッサム」というドラマがある。ゴッサム・シティという悪の街そのものに魅力を感じたのだろう。以前、仮面ライダー鎧武の舞台、沢芽市の形がゴッサム・シティと同じでオマージュだと話題になった。

 石ノ森氏のレンジャーはコミカルさが売りだが、それに比べライダーはダークヒーローだからか。むろん現代日本にリアル・ゴッサムは存在しない。しかし一部の有力者が力を及ぼすリトル・ゴッサムはある。キャラクター消費でとどまらず、なぜ街は悪やヒーローを生み出すのか目をこらしたい。